今シーズンデビューの日本ブランド knitchy(ニッチー)の魅力
ニット専業メーカーがメンズラインの新ブランドとして展開するknitchy(ニッチー)。ニットに関しては知識も豊富なだけに、使われている技術や、使用されている糸の一本に至るまで最上級のこだわりが生かされている。今シーズン、SHIPSではこの話題のブランドを早速セレクト。そして、デザイナーのふたりからブランドのこだわりについて話を聞いた。
――まずは、このブランドを立ち上げることになった経緯を教えて頂けますか?
吉永 もともとは、ふたりともknitchy(ニッチー)を立ち上げる前、現会社で一緒に働いていたんですね。しかし、僕は一昨年に退社しまして、N.Y.でメンズのセールスインターンをやっていたんです。そんなときに、メンズのブランドを立ち上げないかというお話しを頂きまして。
――ふたりでやるということは決まっていたのですか?
吉永 会社で同僚だったときから、いつかはブランドを立ち上げたいという夢はふたりで話していたんですよ。そんなこともあって、N.Y.に行ってからも定期的に情報交換はしていて。ブランド立ち上げの話を頂いたときは、必然的に一緒にやろうという感じでした。
――ブランド名のknitchy(ニッチー)は造語ですよね?
吉永 そうですね。Knit(ニット)とItchy(イッチー)という言葉をかけあわせています。Itchにはむずがゆいみたいな意味があって、ニットを着るとチクチクするじゃないですか。
そんな感じを表現しています。
――おもしろいですね。役割り分担はどうされているんですか?
掘口 デザインはふたりでやっていて。主に工場とのやり取りは私がやって、ブランドの方向性やテーマ決め、セールスに関しては吉永が担当しています。
――これからどんなブランドを目指そうと考えていますか?
吉永 僕らは、古着やストリートブランド、そしてトラッドなスタイルから影響を受けてきていますし、その感じをうまくミックスさせた東京らしいニットウエアを作っていければと思っています。
SHIPSのバイヤー篠原 これまで世界中のニットを見てきましたけど、色やデザインがおもしろいブランドは多いんです。でも、knitchy(ニッチー)は、技術からデザインが生まれている点がほかには無い新しさなんですよ。製法も含めて、ニットを理解しているからこそ生まれる斬新な手法が散りばめられていて、クラシカルでいながら革新的、しかも優しい価格帯なんです。
吉永 そういう評価はすごく嬉しいですね。老舗の海外ブランドには長い歴史のなかで生まれた最適なカタチがあるんです。でも、鮮度という面では劣っている。僕らはどんな番手(細さ)の糸を使って、どうやって編めば、どんな風合いが出るのかを研究しながら試行錯誤しているんです。今後、何十年後かに古着屋さんに並べられるような、チカラのあるものを作っていければと思っていますね。
――ニットの世界は深そうですね
掘口 もう十何年ニットに関わっていますけど、まだまだ憶えることがたくさんある世界なんですよ。
――デザインやものづくりにおいて、トレンドは意識しますか?
吉永 ニットはメインストリームになりにくいアイテムでもありますし、トレンドはあまり意識していないですね。でも、ドレスアップにも、カジュアルにも着崩すこともできる万能なものだとは思っています。
――今後、どのようにブランドを発展させていきたいですか?
吉永 最終的には全身コーディネートが組めるようになりたいですね。アウターからボトム、小物までアイテムのバリエーションを増やしていきたいと思います。
掘口 いま生産はすべて日本ですが、日本で作れないものがあれば積極的に海外のメーカーともやり取りしたいですね。
吉永 近い将来、強い憧れを持ってこの目で見てきたアメリカで、また後にヨーロッパでも百貨店や良いショップにジャパンメイドのknitchy(ニッチー)が良い商品と認知され並ぶように、海外でも展示会などに出て販売をしていけたらと思っています。
――今日はありがとうございました。
シェットランドウールを使い、仕上げにアザミの実のとげを使用し、セーターの表面をひっかき毛羽立たせ、ふわっとした着心地・保温性・また柔らかさを持たせたシャギードッグ。ホールガーメント編み機を使用しており、シームレスなので着心地も抜群。
上質なキッドモヘア(生後3カ月までの仔山羊から採れる毛)を贅沢にあぜ編みで仕上げ、 モヘアの風合いを最大限に活かし、約1時間をかけて職人がアザミの実を使用し、伝統的な手法で起毛をかけています。
糸を多色使いしながら、ケーブル編みやハニカム編みを混ぜてアランセーターのように仕上げている。
丁寧に摘まれたWジャカードの生地は、裏の糸のひっかかりが少なく滑らかな着心地が魅力。