STYLIST SHUN KATAKAI
Talking about CAP
一年のうち360日はキャップを被って過ごしているというスタイリストの片貝俊さん。そんな彼に近頃人気が高まりつつあるキャップについて語ってもらいました。時代が彼に追いついたのか、それともただの気まぐれか!? 片貝さんらしいゆる?い雰囲気で、帽子談義のはじまりはじまり。
――片貝さんっていつ頃から帽子を被っているんですか?
もうずっと被ってますね。好きなんですよ昔から。それこそ身長が80cmくらいの頃から被っていると思います。ファッションを意識して被り出したのは10代からかな。帽子が好きって言うのはもちろんあるんですけど、もうひとつ言うと、髪の毛をセットするのが嫌いなんですよ。だから帽子被っちゃおうみたいな。そんな感じです。
――今では結構数もありますよね。やっぱりコレクションしているんですか?
買い集めているってワケじゃないですけどね。こんなに増えたのはここ最近かもしれないです。ありがたいことにいただくことも多くなったりして。別にトレードマークとかキャラ出しとかそういうつもりではないんですよ。本当に好きで被っているだけです。
――選ぶ時のこだわりは?
わりとメルトン系が好きですね。クラシックな感じのものというか。だから夏は大変なんですよ。なかなか被るものがない。そういうわけで今年はずっとシュプリームの豚革のキャップと、この派手なプリントのキャップを被っていました。あとメッシュキャップは好きじゃないんです。このオリンピックのやつはしょーもない感じにポテンシャルを感じて購入しましたが(笑)、基本的には被らないです。
――ちなみにこの中で言うとお気に入りはどれですか?
日本にやってくる前のラグビーのこれ。これはすごく気に入っていますね。チェックするのは原宿にあるロウドリップ。あそこは好きです。でも歩き回って掘り出し物を探すみたいなことはなくて、ふらっと立ち寄った時に良いものがあればキャッチする。そんな感じです。
――やっぱり片貝さん自身のスタイリングのポイントとしても重要なアイテムですよね、キャップって。
なんて言えばいいかな……。僕らって裸に服を着るわけですよね。で、靴もはきます。となると帽子を被るのは自然な成り行きという感じがするんですよね。それで完結するというか。バランスとかあまり難しいことはわからないのですが、頭だけ裸よりその方がいいと思うんです。だからついつい仕事でも帽子を被せがちなんですよね。
――やっぱりキャップはツバ付きが基本?
ニットキャップも好きですよ。僕は被りませんけど。
――なんで被らないんですか?
なんか熱いんですよね、単純に(笑)。それに僕こんな顔なんでニット帽だとちょっともさいというか。ツバ付きのキャップの方がシティみたいな。ちなみに仕事でニットキャップを使う時はこだわりがあって、深いのはNG。頭のサイズにぴったりな感じのものがいいですね。で、額を出したり後ろにためる被り方も個人的には好きじゃなくて、水平に被せたい。ちなみにキャップもツバは折りたくないんですよ。平行のままというわけじゃないんですけど、ほんのちょっと湾曲するくらいがベスト。どっちもその方が可愛くないですか?
――確かにそういうイメージありますよね、片貝さん。
あんまり格好いいのが好きじゃないんですよね、僕。だからハットも好きじゃないんですよ。なんだか格好いいので。
――でも帽子って似合う似合わないがはっきり出ると思うんですよね。頭のかたちとか大きさが関係してくるから、被り手を選びませんか?
そうですか?僕は、世の中に似合わないものってそんなにないって思ってるんです。だってその辺歩いていている人みて、「あ、あの人着てるもの似合ってないな」ってあんまり思わなくないですか?例えば僕が明日いきなり全然キャラの違う格好をしたら、僕を知っている人は「それ、似合わないよ」って言うかもしれない。でもそれは僕のキャラを知っているからですよね。つまり全然知らない人からすれば似合わないとかあんまり思わないと思うんですよ。
――“自分のイメージにフィットしない気がする”から似合わないって思っているだけだと。
そうだと思うんですよね。なんか自分っぽくないって勝手に思ってしまうだけで、似合ってないわけじゃない。わりと僕はそういう前向きな考え方ですね。キャップも普段あまり被らないから似合わないと思ってしまうだけで、被っちゃえばいいと思います。
――なるほど。ところで自分のスタイリングをする時はやっぱり服から?それとも帽子から?
靴はVANSを360日くらいはいていますし、パンツはここのところずっとコレ。で、靴下は白。だから下半身のコーディネートで悩むことはないんです。上半身に関しては、自分の持っている服をできるだけ分け隔てなく愛そうというのがあるので、その日の気分で選ぶんじゃなくて、出番が少ないものを優先してあげる。
――そして最後に帽子を選ぶ?
そうですね。今日はこれだけ持ってきましたけど、レギュラーは2つくらいなんですよ。
――じゃあ服に合わせていろいろ変えるわけじゃなく、コーディネートがどうあれ、帽子はそのふたつから選ぶと。
服に合うかどうかとかあまり細かいことは気にせず、もう合わせちゃいますよね。よっぽどヤバいと思ったら考えますけど、さっきも言ったようにやってしまえば意外となんでも似合ってしまうと思うので。逆に言うと、コーディネートを狙っている感じが出てしまうのがいやなんですよ。それは帽子自体のデザイン的にもそうです。なんでも狙い過ぎは冷めちゃいますよね。
――じゃあこの冬のレギュラーキャップを教えてください。
確実にこの緑のウールキャップはヘビロテですね。それとこの耳付きも結構好きです。ちなみに被らないけど気に入っているのは、この黄色のウールキャップとチェックのキャップ。「P」がいいですよね、ちょっと意味不明で(笑)。
――ちなみにこの冬オススメの帽子は?
ジェットキャップがいいなって思っています。特に今季はノースプロジェクツのものが好き。ベースボールキャップとは違うこの特徴のある形にモノトーンの迷彩柄、というデザインがいいですね。
――では最後に、今後キャップに挑戦しようとしている読者にメッセージを。
とにかくあんま気にしないことです。似合うに合わないはおいておいて、とにかく被ってみればいいと思います。意外といけるもんですよ
片貝 俊
1982年5月7日生 愛知県出身
スタイリスト小沢宏氏に師事した後、2009年に独立。色を巧みに使うスタイリングに定評あり。その独特な世界観を武器に、メンズファッション誌を中心に活躍するの若手スタイリストだ。