マルチアーティストSHOKOさんが語るクリエイションの裏側
イラストから探るおしゃれアーティストSHOKOさんのファッション観とは?
イラストレーター、ミュージシャンetc.……ロンドンと日本を往復しながら、さまざまな表現手法で独自の世界を展開するマルチアーティスト、SHOKOさん。今シーズンのKhajuのカタログでは、水彩を使ったファンタジックなイラストレーションでおしゃれ好きの女子のハートをクギづけに。そのSHOKOさんに、SHIPS MAGのためにイラストを描きおろしていただきました。
−今回の取材のために描きおろしてくださったイラスト、ステキですね。
SHOKO 「”ミックススタイルをしてこそ、その人の個性を際立たせる”、というのが私の考えなので、今回のイラストでは私のアンテナに引っかかったKhajuのアイテムを軸にコーディネートしました。気づくと大好きなドット柄の靴を履かせていましたね! 柄同士を重ねるのも遊びゴコロを大切にするKhajuのイメージに合っていて可愛いかなと」
−独特な世界感を持つイラストだと感じますが、人物像の設定があったり?
SHOKO 「設定というよりも、イメージを持って描き始めます。でも、描いているときはとても集中しているから意識していないけれど、描き終わったら自分に似ていると言われることが多くて(笑)」
コンビネゾン¥33','600/Sarah Wayne
−確かに! 面白いですね。SHOKOさんが描くイラストレーションの素はやはり、活動の拠点としているイギリスからくるものが多い?
SHOKO 「日本でも、イギリスでも、普段の生活の中で目に入ってくるもの、また自分が日々感じていることすべてがデザインに繋がると思っています。作品って、生まれてから今まで影響を受けてきたカルチャーとか、人とか、感情とか、全部自分自身を通して作品として表現されるもの。今はロンドンと東京を行ったり来たりしているから、東京からロンドンに行って新鮮に感じたもの、逆に東京戻ってきたときに新鮮に映るものが、作品に生かされていると思います。それと、私の生活に欠かせないのが音楽。音楽好きの両親の影響もあり、幼少の頃から音楽は好きでしたね。楽器や歌うことはもちろん、ライブに行くことも大好きです。ライブはやはり生の表現だから、直にアーティストの想いが伝わってきて感動するし、曲という作品を大事にしている姿に直面すると胸がいっぱいになる。あと大事にしていることは、偶然であり必然の出会い。人のパワーって本当にすごいと思います。ロンドンでまだ学生の頃、ある古いロックバンドのTシャツを着て歩いていたら、”その Tシャツ、どこで買ったの?” と声をかけてきたイギリス人がいて。その人はたまたまアートのキュレーションもされている方だったのだけど、それがきっかけで今も一緒に仕事をしたり、色々相談に乗って頂いたり。チャレンジして行くことは大事だと思うけれど、人との出会いは無理をしてコンタクトを取るとかじゃなく、必然的に出会う、ということを大事にしているし、常にそれを敏感に感じ取れる心でいたいと思っています。現代のコンピュターでのソーシャルネットワークとは逆流したような考えだけど、それは制作のためだけじゃなく、人としてすごく大切なことだと思うんです。」
−素敵な考えですね。そういった意味でもSHOKOさんはモノ、だけじゃなく”感覚”みたいなものを大切にしていますし、制作時間もかなりかかるんじゃ?
SHOKO 「そうですね。ひとつのプロジェクトに与えられる時間って、大体3週間なんですよ。そのうちの約2種間は、その依頼されたテーマについてリサーチをしたり、スケッチをしたり、コンセプトを詰めたり。だから実際に制作に費やす期間のほうが少ないほど。そこは集中力が勝負なので。毎回そうとも限らないけれど、だいたいの場合はそんな感じです。そのくらいコンセプトがしっかりしたものを作って行かないと、結局見る人には伝わらないから。これはロンドンの大学で学んだことだけれど、今でも制作の上で大切にしていることですね」
−今日はコートにブローチを付けていたり、黒のワンピースにスカートをレイヤードされていたり、SHOKOさんらしい個性的なエッセンスがステキです。自身のファッションスタイルについて、こだわりはありますか?
SHOKO 「自分が”好き”と思うものをミックスして自分らしさを出す。何を着ても自分らしくなるようなコーディネートを考えていますね。ロンドンの街で女の子を見かけて、”あ! あの服可愛いな”と思ったら、”その服どこで買ったの?” と声をかけることもあります。でも、もちろん洋服自体も可愛いのだけれど、大体はその服を着こなしているその子自体が可愛いんだ、ということにある時気づいて。スタイルがある人は、何を着ても結局その人になる。ファッションにおいても、内面は大切だと思っています。結局ファッションはその人自身を表現しているから。もちろん、ひとつの大好きなブランドで固めるのもスタイルだと思うし、また、例えば自分がパンクミュージックに影響を受けて70歳を過ぎてもパンクファッション一筋の人も芯が通っていて格好良いと思うけど。でも私は、色々なものが好きだし、様々なスタイルを楽しみたいです。逆に、好きでも似合わない服は、結局自分をステキに見せてくれないものだと思うので、あまり着ない。そういう考えですね」
−今年の春夏はどんな着こなしをする予定ですか?
SHOKO 「んーーー。白! 今回のイラストで描いたこのオールインワン(Khaju)に、この前ロンドンで買ったヒョウ柄のウエッジソールのサンダルと合わせたいな。洋服は、80%くらいはロンドンで買いますね。」
−では、女の子達にどんなファッションを楽しんで欲しいですか?
SHOKO 「一番は、みんなそれぞれの個性を持って、それぞれのファッションを楽しむのが良いですよね。オリジナリティを持つことが一番大事だと思います。音楽を聴いたりアートを見たり、人と話したり本を読んで知識を得る、旅をする、そういうことで個々の個性がつくられ、それがファッションで表現される、それが一番理想的なんじゃないかな」
SHOKO / アーティスト
ロンドンと東京を拠点に活動中のアーティスト。
作品はドローイング、イラスト、音楽、パフォーマンス等様々な表現に及び、ロンドンでの数々のグループ展やアニエスベーとのコラボレーション、資生堂ザ・ギンザのアートワークなど、広いジャンルで発表している。2011年にリリースした音楽作品集「When the sun will rise」に収録された楽曲がレッド・ヴァレンチノ2011-12年秋冬コレクションのイメージ・ビデオに起用され、話題を呼んだ。
http://www.shoko-art.com