35thスペシャルインタビュー ―MORE 杉野潤子編集長―
読者の半歩先を行く、その感性がMORE的STYLISH STANDARD
「いつもその時代の女性たちの“スタンダード”を作ってきた雑誌が『MORE』。」SHIPSと同じく、今年で35周年を迎えるMOREを、編集長である杉野さんはそう語る。“24時間をハッピーコーデ。”をキャッチコピーに掲げ、20代〜30代までの女性たちのファッションやビューティ、カルチャーを特集する女性ファッション誌。そんな35年間、不動の人気を誇るMOREのSTYLISH STANDARDとは?
――今年で35周年を迎える雑誌『MORE』に対して、杉野さんが思うSTYLISH STANDARDとはなんですか?
杉野 そうですね、私たちは25歳〜35歳くらいの女性たちをMORE世代と呼んでいるんですが、彼女たちの日常のベースとなるすべてのモノやコトがぎっしり詰まっている雑誌がMOREだと思っています。なので、会社へ行くファッションやメイクから始まり、休日のおしゃれや旅のプラン、結婚問題から仕事の選択など、その世代のスタンダードでおしゃれな生き方を、誌面を通じて全力でサポートしていく、それが「24時間をハッピーコーデ。」につながっていると思うし、私の考えるSTYLISH STANDARDな雑誌作りだと思っています。
――では誌面作りで気にかけていることは何ですか?
杉野 私たちはまず、読者がすべてだという事が基本にあります。読者が何を欲しいか、何を見たいか、どう感じるかということを常に考えながら、その半歩先を行くことを心がけていますね。実はそのサジ加減がとても大切で。先へ行きすぎてはダメだし、同じ目線でもダメ、読者の後ろからついていくなんてことはあってはならない。だから常に、読者の意識に対するリサーチは怠りません。
――実際、MOREの読者とはどんな方々ですか?
杉野 今の読者って凄く自分を大切にしていて、とても向上心が強いんです。自分が知りたいと思ったことはとことん知りたいし、行きたいと思うと簡単に留学に行く。またそういう気持ちにとても素直。実は今年の春に、九州から北海道まで全国の読者を訪ねるツアーを敢行したんです。各地にいるMOREのブロガーさんのお家へ、実際にお邪魔して生活っぷりを見たり、彼女たちがよく行くカフェに集まって座談会を開いたり。そこで目の当たりにしたのは、とてもアグレッシブで前向きな女の子たちの姿です。SNSが発達している現代、ブログやフェイスブックなどを使ってそれぞれに自分を表現していて、そこには「こう見られたい」というセルフイメージもしっかり持っています。今の女性たち本当に多面的です。またMORE世代って、バリバリと仕事をしている人もいれば、結婚して子育て中の人もいる。だから読者像ってひと言では言い難い。変化の多い世代なんですね。
――会ってコミュニケーションをとってみて、いかがでしたか?
杉野 彼女たちに会って感じたのは、環境は違えど、読者というのはもう受け身ではなく、表現する楽しさも分かっていて、自分のフィルターをしっかりと持っているという事ですね。昔の雑誌はとにかくキレイなモデルが誌面に出ていればOKでした。その後、そのモデルの私生活やパーソナリティを紹介して、それに読者は憧れを抱くようになった。それが今では、『モデルはこうだけど、私はこう着る』というように、自分で判断して自分で選ぶことができる。自分らしさをなにより大切にしている。これからは、そんな子たちに雑誌が何をしてあげられるかということをより一層、求められるようになってくるのを感じました。
――では改めて、MOREのSTYLISH STANDARDな姿とは?
杉野 常にMORE世代の女の子たちのスタンダードでありながら、移り変わっていく読者に合わせてスタイリッシュにしなやかに変化していく。これからはインターネットやSNSがどんどん発達していき、情報も共有しやすくなってくるので、もっといろんな方向からアプローチできるようになると思うんです。軸はあくまで雑誌に置きつつ、ブログや通販、イベントなどを通じて新たなコミュニティが出来たり、とにかく沢山のことをMOREというブランドを使って、これからもどんどん仕掛けていきたいと思っています。
MORE
創刊35周年の今年は、発行部数52万部と絶好調。11月4日には渋谷ヒカリエにて「MORE HAPPY フェス」を予定。
杉野 潤子
「人を喜ばせて、楽しませるのが私の仕事においての基本。何かに迷ったときには何度も原点回帰」と語る杉野潤子さん。女性ファッション誌『LEE』や『BAILA』での編集経験を経て、6年前に『MORE』の編集長に就任。休日には、ボストンテリアのすももちゃん(4歳)との散歩が日課なのだとか。最近はゴルフにもはまっている。