女性らしく格好良いPULETTEの秘密
ベーシックを基本に、メンズアイテムの要素を取り入れたアイテム展開で、注目のブランドPULETTE(プレット)のデザイナー郡司 杏さんにインタビュー。メンズライクでありながら、知的で洗練された芯の強い女性像が見えてくるそのアイテムに込められた秘密を探ってきました。今回特別に、デザイナー郡司さんとPULETTE推薦人のプレス野尻が最新アイテムを着用しているので、そちらも注目です。
??“お母さんのクローゼットにあるような現代服”がブランドコンセプトということですが、何かきっかけがあったんですか?
プレットの基本アイテムは、ボタンダウンシャツ、チノパン、デニムなんですが、この3つのアイテムって昔からたくさんの人に愛されてきたものですよね。このベーシックなアイテムをベースにして、現代的にアレンジを加えたスタイルが好きで、そういうものを作りたいって思ったのがきっかけでした。父や母が昔着ていたアイテムを見て、新しい! って思うことがあるじゃないですか。そういう驚きを与えられたらと思っています。
??実際にお母様のものを着たりしていましたか?
着ていましたね。クラシックなツイードのジャケットとかスカートとか。
??郡司さんはお綺麗なので、女性らしいものも似合いそうですが、ガーリーなものや、わかりやすくフェミニンなものに目覚めていた時期はなかったんですか?
そうですね。小さい頃は母に着せられていましたけど、自分の意思で洋服を着るようになってからは、トラッドなものでした。昔からメンズライクでベーシックなものが好きだったんです。古着とかも好きだし。
??トラッドなものや、ベーシックなものを好きになったきっかけは?
反動ですかね。小さい頃がフリフリだったので(笑)。
??プレットは、メンズの洋服で使う生地や仕様を取り入れたアイテムが多いですが、レースなどのフェミニンな要素を今後取り入れる予定はないですか?
絶対に使わないっていう頑固な考えはないんですけど、今はトラッドな気分ですね。プレットというブランド名は、“プラス”と“パレット”をかけ合わせた造語で、パレットに絵の具を足していく感覚で、クローゼットに洋服を足していって欲しいっていう意味が込められているんです。なので、機軸として最初に言った3アイテム(ボタンダウンシャツ、チノパン、デニム)があって、そこにどういうアイテムを足していくかっていう考え方なんです。なので、シーズンアイテムは、その3アイテムのパレットに出す絵の具なので、今後も遊び心のあるアイテムを作っていきたいって思っています。今後レースでフリフリのアイテムが出てくる可能性もあるかもしれないですね (笑)。
??ベーシックっていうだけあって変化を加えるのが難しいと思うんですが、プレットならではのこだわりは?
ぱっと見のかわいさじゃなく、着方がおもしろいとか、“なんかかわいい”っていう物作りをしていきたいと思っています。見た目がかわいいのももちろん大事なんですけど、こういう着方もかわいいとか、こんな着方ができるんだっていう発見を与えられたり、全身プレットっていう訳にもいかないので、自然に溶け込めて、密かに存在感もあって、長く愛着をもって着ていただけるアイテムを作っていきたいです。
??次のSpring/Summerのテーマは?
大々的にシーズンテーマは毎回決めていないんですが、自分の中でこっそりあって(笑)。今回は“スモーキー”霧がかったイメージです。私は、霧って凛としたイメージがあるんですよね。図書館の外にある草原のベンチで朝焼けの中、読書をしているやさしそうな女性のイメージです(笑)。
??清楚で知的なイメージですね。
そうですね。白いブロードのシャツにネイビーのスラックスを穿いて、肩からピンクベージュの麻のセーターをかけてとか、そういうスタイルを想像しました。
??そういうイメージは、どういうときに思いつくんですか?
常に作りたいものは考えているんですけど、その中でこういう色味がいいなぁとか、自分の中にいくつかのキーワードが浮かんできて、最終的に私は全身のスタイリングで考えるんです。こういうシャツが作りたいなってまず思って、それにはこのパンツが合うなとか、こういう靴を履かせたいなとか、それだとジャケットやストールが必要だなっていう風にいつも作っていっています。
??珍しいですね。
そうかもしれないですね。でもやはりその中でも、自分のクローゼットに溶け込める洋服づくりは、心がけていて。なので、ぱっと見の派手さはないかもしれないですが、いつまでも長く着られる、縫い方や仕様にしてあるので、手に取ってみるとわかる過程にも注目してもらえるとうれしいですね。
??ぜひ着て、その良さを感じていただきたいですね。突然ですが、最後に郡司さんが考えるSHIPSのイメージは?
ベーシックでコンテンポラリーで、上品できちんとしたイメージです。ドメスティックも大きなブランドだけでなく、うちのような小さなブランドも目にかけていただけるので、うれしいですね。今後ともよろしくお願いします。
??こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございました。
※2012ss商品のため価格は未定です。
一見ジャケットのようだが、トロピカルウールというメンズのスーツなどによく使われる生地を使ったサマーコート。メンズのフォーマルコートであるチェスターフィールドコートをカジュアルダウンさせ、レディースアイテム仕様に。内ポケットなど細かい部分にも郡司さんのこだわりが存分に詰まった一着。
ショーツはジャケットと同素材なので、セットアップでも着用可能。きれいめの王道スラックスだが、ショーツなので幅広いコーディネートが楽しめる。基本的にはベーシックでシンプルなアイテムだが、ラインや取り外せるレザーのポイントなど、プレットらしさがちりばめられた一品。サマーセーターは、先ほど郡司さんがお話してくださった霧のイメージを象徴するようなスモーキーピンク。着丈が短く、長いマトンスリーブという女性らしい発想のアイテムだが、こちらもスウェットの形をニットに作り変えたところなど、プレットらしいメンズアイテムの発想が加わったアイテムになっている。
<野尻着用>
前から見るとラグランスリーブで、後ろから見ると通常のセットインになっている変り種シャツ。メンズアイテムであるスプリットラグランから発想を得たとは思えない女性らしいフォルムと、クラシックな雰囲気が特徴。ドレスシャツから発想を得たというステンカラーもポイント。
<郡司さん着用>
ボタンを留める位置で、様々なアレンジができるプルオーバーシャツは、上品なスモッグを意識したという遊び心のあるアイテム。麻とテンセルを組み合わせた素材なので、上品で女性らしいツルっとした肌触りになっている。また、カラーテープを配するなど裏側にもこだわり満載なので、そちらも注目!
郡司さんとは何かと好みや趣味の共通点が同じだったり、年齢も近いという事もあり仲良くさせていただいています。とてもかわいいのに自然にトラッドを着こなせるのがかっこいい! PULETTEのディテールや色使い、すべてに置いて納得出来るデザインで大好きです。郡司さんと交流を持てた事をきっかけにますますPULETTEも郡司さんも好きになりました。
郡司 杏
1983年11月9月生まれ。杉野服飾大学 モードクリエーションコースにてファッションの基礎を学び、某企業のデザイナーを務めた後、2010年8月スタイルデパートメントに入社。2011年春夏より「PULETTE」プロジェクトをスタート。