リングヂャケットの新素材開発秘話とその魅力

リングヂャケットの“モノ作り”は、熟練の技とハンドメイドを多用することで、画一的な大量生産の服とは違った「アジのある服、なんとも言えない柔らかい雰囲気の服」を作ることに尽力を注いでいます。簡単な流れ作業で作られる服は、特別な技術を必要としないので誰が作ってもさほど大きな違いがありません。しかし、ハンドメイドを駆使した服は相応の技術と経験のある職人でないと作る事ができないのです。そして、そういった情熱、時間、労力を惜しみなく注力した職人の手によって作られる服は、なんとも形容し難い独特の雰囲気が漂っていると思います。

ここ数シーズン「楽ジャケ」というキャッチコピーとともに人気のあるジャージージャケット。ジャージー（カットソー）素材ならではの伸縮性と適度なカジュアル感のある表情が多くの人に受け入れられました。しかし、本来スウェットやカットソーにするのには適していましたが、ジャケットとしては型崩れや、1シーズン着るとダメになるなど問題が多く出ているのも事実でした。しかし、一度伸びる「楽ジャケ」の着心地を知ってしまうと、カッチリとした布帛のジャケットには戻れないという事で、ジャージー素材のように膨らみ感と伸縮性がありながら、安定性の高い“織物生地”を開発すべく踏切りました。
そこで、糸の開発段階から企画を出していき紡績メーカーにまで伺って打ち合わせを重ねました。そうやってようやくみつけたのが今回の特殊なウールなんです。細くても非常に強いクリンプ（縮れ）を持つ特殊なウールで熱を加えると驚くほどに、そう、まさに風船のように膨らみます。このウールをベースに数種類のウールを独自に配合して素晴らしい糸が出来上がりました。この糸を使って、ふんわりと織り上げると、抜群の膨らみ、嵩高性、ソフトさ、そして伸縮性のある生地に仕上がります。楽で伸びるけど、シッカリそして崩れない。ジャージージャケットの特性がありながら、普通の生地のジャケットのようにキッチリにも見えるフェイス、次世代の楽ジャケ素材が遂に誕生いたしました。