シップス サシリー

○まずはGLOW創刊の経緯について。

GLOWのプロジェクトが始まる前に、私自身が４０代になり、自分の世代がリアルに着たい服の提案がないんじゃないか？と、感じていました。当時は「とんでもなくお金が掛かる贅沢品か、あるいはファッションというより衣料品の類」という二者択一になっていて、毎日楽しめるような服の提案がなかったと思います。40代にファッションが発信されていない様な気がしてすごく疎外感を感じました。おかげさまで弊社のInRed（インレッド）は30代女性誌ナンバーワンと、多くの30代の方からご支持いただいていますが、このまま読者の方々が40代になるという事も考えつつ、今の40代を放って置けないと感じていたので、そこに向かって雑誌を創刊できないものかと考えていた所だったのです。

○40代のファッション感とは

私は職業柄ファッションの情報が入ってくるので、着るものの選択肢は一般の方々より広いですが、他の職業の方々に聞いてみると「何を着て良いのか解らなくなった」という意見が非常に多かったんです。20代の時はもの凄くお洒落もしてたし、雑誌も沢山あったからちょこちょこ良いもの買ったり、着たりしていたのにいつのまにか何を着たら良いのか？何処で買えば良いのか？わからなくなってしまったというのが一般の方々の声でした。自分たちをオバサン扱いしているような百貨店の40代のフロアーでは絶対買い物したくない、かといって、若い子向けのショップでは接客やサービスの時点でイライラしたり、サイズ感が違うということで不満を感じる。一体、私達が求めている服はどこにあるの？というのが本音だと思います。素材感も安くて今時な感じであればいいという発想は全くなく、やはりそこそこ良いものを着たいんです。とてもシビアです。そして実際、本を創刊して40代というのは物に対しては単純に値段だけでもなければトレンドだけでもないということを実感しました。自分が気持ちいいとか、自分にとって価値があると思えたものに対してはお金を払う自己選択が出来る人達、世代なんだなと、私は感じています。
10代・20代だと、例えば皆が持ってるポーチの中身とかブランドが気になるとかありますが、GLOW世代に関しては他人のことは気にならないんですよ。 アラフォー世代のファッション感は、ただ単純にトレンドだとか上質だとかという事だけでは動かせない世代だと思います。例えばこのトレンドが自分に何をもたらせてくれるのか？従来通りのセールスポイント以外に自分にとってのプラス「α」を感じないと中々心が動かない、そういう世代なのではないでしょうか。