新しい生活様式への変化が求められる今、自宅で洗濯できるニーズが高まりを見せています。SHIPSのショップでも“洗えるニット”が人気に。ところで、ニットってどうやって洗ったらいいの? そこで今回は、洗濯のプロ集団「洗濯ブラザーズ」の茂木さんに聞いてみました。最新ニットアイテムと正しい洗濯方法を、ぜひチェックしてください!
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前処理
- 洗濯をするときには、必ずニットを裏返しに。まずは襟周りの皮脂など油性汚れにアプローチします。
- 水で薄めた弱アルカリ性の洗剤をスプレー&洗濯ブラシで叩き込み、繊維の中に洗剤を行き届かせましょう!
※この前処理はファンデーションや食べこぼしなどにも有効です。洗剤は弱アルカリ性なら自宅にあるもので手作りしてもOK。もしプロユースの洗剤が気になるという方は「リブレ ヨコハマ」のプレウォッシュスプレーを要チェック!
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手洗い
- ニットが入る大きさのウォッシュタブを用意し、中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)5ml+水道水5リットルを混ぜ合わせます。
- ニットを沈め、全体に洗剤+水が浸透するように「3分間」押し洗いをします。
※水温は常温で。高いほど汚れ落ちは良くなりますが、そのぶん生地にダメージも。高くても30℃程度に。生地同士をこすらずに、沈めては持ち上げる動作を繰り返し、水に汚れが移っていくのを確認しましょう。
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脱水&すすぎ
- ニットを洗濯ネットに入れて、洗濯機で「1分間」脱水。汚れを水ごと遠心力で飛ばします。
- 脱水を終えたニットを洗濯ネットから出し、「1分間」流水ですすぎます。
- 洗剤が十分に落ちたら、再び洗濯ネットに入れて「1分間」脱水します。
※洗濯ネットはジャストサイズで!もし大きい場合は端をしばったりゴムで止めると◎です。大切なのは脱水中にニットが動かないようにすること。生地が擦れて痛むのを防ぎましょう。もしニットだけでは軽くて洗濯機が回らない場合はバスタオル2〜3枚を入れると回りやすくなります。
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乾燥
- 陰干しが鉄則。形を整えながらネットに平干し、またはハンガーを複数使ってお化け干しをしましょう。
※型崩れの大きな原因は水分の重み。袖や裾をハンガーにかけて重みを分散させましょう。毛足の長いニットは、乾いた後にスチームアイロンをあてて毛を立たせると、よりふわっとした仕上がりに!
ニットの洗い方に加えて、日頃から気をつけたほうがいいポイントについても、
茂木さんにお聞きしました。洗濯の世界って奥深い!
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なぜ前処理の工程が必要なのですか?
まず知っておいていただきたいのは、汚れの種類。大きく分けて「水溶性(ex:汗)」「不溶性(ex:食べこぼし、泥、ファンデーション、血液)」「油性(ex:皮脂)」と3種類あるんです。 不溶性、油性の汚れを落とすには、洗浄力の強い弱アルカリ性の洗剤を使いますが、汚れを引き剥がす力が強いということは、それだけ縮みや色落ちなど生地にもダメージが大きくなる。 なので、前処理で落としたいところにだけ弱アルカリ性洗剤をつけて、全体の汗などの水溶性汚れを中性洗剤で落とす……といったように汚れと素材によって洗剤を使い分けて、守りながら洗うことが大切です。
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洗剤は水で薄めて使うんですね?
洗剤を使いすぎている人が多く感じますね。たくさん洗剤を使ったとしても、汚れが落ちるわけではないですし、むしろ繊維の中に残ってしまって黄ばみにつながることもあるので、しっかり使用する量を守って水に溶かして、毎回残さず落としきることを重視したほうがいいと思います。
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目安として何回着たら…という、ニットの洗いどきってありますか?
これは汗をかく量や着ている場所の空気の汚れなどによって、本当にまちまちなのですが、個人的には2〜3回着用したら洗っています。すぐに洗えない場合は、少なくとも通気性のいいところに吊るして干すようにしてください。 ニットは水分を含んでいる状態で放置しておくことが、一番生地にダメージを与えてしまうので。また、最近ではウイルスが気になるという声も寄せられますが、外出から帰ってきたら洋服ブラシをかける習慣を取り入れることをオススメします。ブラッシングしておくと毛羽立ちや毛玉ができにくくなりますよ。
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先ほど「洗剤が残ることで黄ばみに繋がる」というお話がありましたが、消臭スプレーなどは多用しても大丈夫ですか?
ファブリック用のものであれば大丈夫です。もちろん残るようにはできているものですけれど、ファブリック用ならば残ったとしても生地の変色がしにくい成分を使用していますので。 ただ、それをスプレーしたあとすぐにクローゼットに入れたらNGです。特にカシミヤやアンゴラなど高級素材は水分が残っているとムシ食いの原因にもなりますので、乾くまでは通気性のいいところに干すことを忘れずに。
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自宅で洗えるもの”、“プロのクリーニング店に頼んだほうがいいもの”の差を教えてください。
大前提として、基本的にはみんな自宅で洗えると思ってください。ダウンジャケットやムートンブーツだって家で洗えますからね。 ただ色落ちしやすいレザーや、水に縮みやすいレーヨン、キュプラ、アセテートといった半合成繊維などドライ指定になっているものは、扱いに知識が必要だという意味でプロに頼んだほうがいいですね。 ニットを洗濯した失敗談として「縮んでしまった」という声を聞きますが、実は戻せないこともないんです。ヘアコンディショナーを使ってギュッとなった繊維をほぐして、形を整え直す……みたいな技術があるクリーニング店はあるので。 そういう「困った」「どうしよう」っていうときはプロに頼んで、いつもの洗濯は自宅でって感じですかね。
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プロでも難しいなと思うものはありますか?
素材や染色方法がわからないものですね。洗濯は生地を守ることと、汚れを落とすことのバランスを取りながら、対応していく作業なので。守り方を模索することが大変かもしれません。刺繍などの装飾品が着いているものは、一度それを外して、また縫い直すという作業をすることもあります。 古着のデニムも難しいですね。極力色落ちを抑えながら洗うために、糊を使った新しい洗剤を開発もしましたし、また繊維会社によって新しい素材もどんどん出てきますし、服と一緒に洗濯もどんどん進化していく必要を感じていますね。 「洗濯は難しい」「自分で洗うのは面倒くさい」と思う人も少なくないと思いますが、手をかけていくほどに愛着が湧いてくるという楽しさもあります。ぜひ、洗濯を人生を豊かにするきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
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前後どちらを前にしても着られるデザインのケーブルニット。紐の結び方を組み合わせれば、さらに着こなしの幅が広がります。気になる素材はアクリル50%、毛50%。バルキーアクリルがブレンドされることで軽い仕上がりを実現しています。ブラッシングでケアすればキレイな網目が長持ちします。
ケーブルニット ¥18,100 (+tax)
/ SHIPS -
シャツやタートルネックなどのインナーとのレイヤードも楽しめそうなオーバーサイズのニットチュニックはアルパカを、個性的な畔編みが目を引くニットプルオーバーはアンゴラを、それぞれ織り込んだ柔らかな手触りが印象的。毛足の長いニットはスチームアイロンで日々のケアを続けると、フワフワの質感がキープできます。
ニットチュニック ¥40,900(+tax)
/ roberto collina
畔ニット ¥39,000(+tax)
/ roberto collina -
これからのイベントシーズンに活躍してくれそうなニットワンピースはウール100%。しかもトップクラスの良質原毛を惜しみなく使用していることから、柔らかな光沢感とリッチな肌触りです。着用後は、通気性のいいところに干して乾燥してからクローゼットへ。(ペチコート付き)
ニットワンピース ¥19,000(+tax)
/ SHIPS -
繊細なオーストラリア羊毛を使用した防縮加工糸で作られたニットコートは、まるで布帛のようなさらりとした着心地が特徴です。アウターを洗うときには、より重みがタテ方向にかかることを忘れずに、平干しまたはお化け干しで分散させましょう。
ニットコート ¥25,400(+tax)
/ SHIPS
茂木貴史さん(洗濯ブラザーズ)
神奈川県横浜市でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA」を経営。高い洗濯技術が評価され劇団四季やシルク・ドゥ・ソレイユをはじめ国内外の有名アーティストのステージ衣装のクリーニングも手掛けている。 実弟の茂木康之、ビジネス弟の今井良の3人で洗濯のプロ集団「洗濯ブラザーズ」を結成。オリジナル洗剤の開発、メディア出演などを通じて毎日の洗濯を楽しくハッピーにする活動を行っている。
おすすめアイテム
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1
電動毛玉取り機
¥4,500(+tax)
ニットケアに欠かせない電動毛玉取り機もオススメ!切れ味がよく錆びにくいため、使い方は撫でるように当てるだけOK。ウール、カシミヤ、アルパカ、コットンやリネンも対応しています。
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2
プレウォッシュスプレー
¥2,000(+tax)
下処理で登場したのは、こちらのプレウォッシュスプレーです。ファンデーションや皮脂、食べこぼしなど様々な汚れに対応。洗濯前に吹きかければスッキリとオフできる新習慣アイテム。
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3
シルク&ウール用洗剤
¥4,000(+tax)
洗濯で使用したのは、デリケート繊維洗いに特化したオリジナル洗剤。美容成分としても注目を集めるスクワランを配合しており柔軟剤不使用でしっとりとした洗い上がりに。
洗濯ブラザーズによる初の著書『日本一の洗濯屋が教える間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)も好評発売中。
¥1,400(+tax)