今季で10シーズン目を迎える、スカートに特化したブランド「CLEANA(クリーナ)」。独特なデザインや、女性の魅力を最大限に引き出すシルエットなど、今までにないスカートが揃う。男性ならではの目線で作るスカートの魅力とはなんなのか、デザイナーである飛世拓哉氏にうかがいました。
デザイナー飛世氏によるスカートに特化したブランド。
「もし、このスカートを選んでくれたなら、一番シンプルなトップスに合わせるだけで貴方のもつ空気を変えてみせる」というコンセプトの通り、シンプルなトップスに映える、デザイン性の高いスカートを展開。現在はトップスやアウターなども展開している。
まずは「クリーナ」立ち上げまでの経緯を教えてください。
───クリーナを運営している、自分が所属している会社が今年で13年目になるのですが、クリーナの前にユニセックスのブランドからスタートしていて。仕事の流れにも余裕ができた頃、もうひとつ新しいブランドを立ち上げたいと思って作ったのが「クリーナ」なんです。
2019年SSで5年目を迎えたクリーナですが、この5年間で大変だったことはなんですか?
───ブランドをスタートさせたときが本当に大変で。スカートだけのブランドって無いので、北から南まで日本全国のお店に営業をかけたんですけど最初は取り合ってくれなくて……。幸運なことに2回目の展示会で有名なお店さんが商品を扱ってくれて、そこから徐々に認知されたという印象が強いです。本当に運が良かったなぁと思います。
スカートに特化するというのは挑戦的な部分もあったかと思いますが、アイテムを絞ったのは何故ですか?
───学生の頃からスカートを作るのが一番好きで、もともと海外でも日本でもレディースのデザインを主にしていたんです。そういう部分もあって、世の中のニーズに合わせたブランドよりも、何かに特化したほうが面白いと思ってスカートのみのレーベルをスタートさせました。
学生時代からスカートを作るのが好きとのことですが、その魅力はなんですか?
───スカートって、極端にいうと前と後ろが隠れていたらスカートとして成り立つんですよ。パンツだったら脚を二本通すとか、トップスだったら頭と腕を通すことを想定するけど、スカートにはそれがない。デザインをするうえで一番自由度が高いアイテムなので、作っていて面白いです。
男性が穿くことのないスカートをデザインするうえで、難しさを感じることはありますか?
───自分が穿けないぶん、理想の女性像とかエゴを投影できるんですよ。そこが魅力でもあるんですが、自分が穿けないからこそ穿き心地とか、シルエットとか最終的なところを体感できないのが難しいところでもありますね。
これまで製作されたスカートのなかで、一番苦労したものはなんですか?
───シップスさんでも扱っていただく商品にも同じモデルがありますが、スカートとパンツが融合したものですね。見た目はパンツなんですが、完全にはパンツになっていないので、スカートを穿いているときの危うさがある「精神的スカート」なんです(笑)。歩いたときや座ったときの見え具合が一番苦労しましたね。苦労したぶん、気に入っているアイテムのひとつです。
精神的スカートは今季のテーマにもなっていますよね。
───そうですね。2019年SSはみんながパンツばかり穿くことに対しての嫉妬とか、そういったものをスカートに落とし込んでいます。パンツでは作れないシルエットだったり、パンツにデザインを寄せてみたりと、パンツ自体に寄生するデザインがテーマになっています。
クリーナのアイテムは、ストリートライクな素材やアイテムをうまく女性的に昇華させているので、普段スカートを穿かない人でも取り入れやすいという印象がありますよね。
───レディースのブランドだとスカートってマストだと思うんです。クリーナはスカートのみのブランドだからこそ、他のブランドさんのスカートに負けないデザインを作る必要もあって。僕自身がただ甘いだけじゃなく、どこかにメンズらしさをミックスさせるのが好きかもしれません。今季からトップスも展開しているのですが、そのデザインも普段自分が着ているようなものをレディースに落とし込んだんです。普段使いもできて、そのままパーティや結婚式の二次会に行けるようなジャケットが欲しいなと思っていて、実際に僕が普段着ているコーチジャケットを元に作ったんです。
いままでに作ったアイテムのなかで一番のお気に入りはなんですか?
───ブランドがスタートしたときに、一番最初に作ったスカートがお気に入りです。全体的に折り紙のようなプリーツがかかっていて、体にフィットしてくれるデザインに仕上げています。これは定番的に毎シーズン出していて、自分のなかでは大人が穿けるプリーツスカートという位置づけなんです。
このスカートは素材も面白いんですよね。
───実は、工場のユニフォームなどで使われている生地を使用しているんです。自宅で洗濯してもプリーツが取れないのでイージーケアもできるし、静電気が起きにくかったり、多少の雨に濡れても大丈夫など機能性も抜群。僕がメンズのデザインをしていたのもあって、レディースブランドではあまり使わない素材をスカートに落とし込むのが好きなんです。
最後に、これからの目標やヴィジョンを教えてください。
───「クリーナ」はスカートだけのブランドなので、“スカートといえば、クリーナのこの形が定番だよね”というものを最終的に作りたいなとは考えています。一番大きな目標はそこで、毎回試行錯誤をしている感じです。
歩いたり、座ったりしたときに肌が見えるパンツライクなスカート。
ハリのあるデニムに施されたウォッシュ加工が絶妙。
スカート 各¥38,000 (+tax) / CLEANA
片足がパンツになっている独特なスカート。
前後のアシンメトリーなシルエットやボタンの位置など、
遊び心が詰まったデザイン。
スカート ¥36,000 (+tax) / CLEANA
春先のコーデに加えたいチノ素材のスカート。
カジュアルな素材ながらもすっきりとしたフォルムで、
きれいめスタイルにも対応。
スカート 各¥32,000(+tax) / CLEANA
サイドラインと前面に配したフリルの対比が美しいスカート。背面は折り紙状のプリーツでフロントとバックで異なる表情を楽しめる。
スカート¥46,000(+tax) / CLEANA
軽やかさを印象づける歩くたびに揺れる前面のフリルと、
折り紙のような背面ドレープが女性らしさを際立たせてくれる。
スカート各¥37,000(+tax) / CLEANA