ストリート全盛のリアルクローズシーンにおいて、一際注目を集めているのが韓国ブランド群。中でも「whideout.(ファイドアウト)」は、クリーンでシンプルなイメージながらも、抜群に今っぽいシルエットで、早耳のファッショニスタたちから注目を浴びているブランドです。今回は来日中のデザイナーをキャッチ! ブランドストーリーや、日本のファッションについてなど、いろいろと聞いてきました!
トレンドとクラシック、コンテンポラリーとベーシックを独自のアプローチで混在させる。着心地が良くて、⻑持ちして、価格も適正。なんでもない毎日を洗練させる、それがファイドアウト。オリジナルの生地を開発、使用できるという点と、自社工場と多数の専属工場を備えており、質の良い製品を生産することができていることも強みである。
DESIGNER:Lee Young gyun
ーーまずは、ご自身のブランドについて教えてください。
ファイドアウトは気軽に着られる服。着飾って着る服ではありません。リラックスして過ごしたい休日、でもちょっとはお洒落も楽しみたい。そんなライフスタイルを求める、20代から30代の方々に向けて作っています。性差というものも古い考えだと思っていて、立ち上げてからずっとユニセックスで着られるような服ばかりをそろえています。肩肘張らずに、毎日をリラックスして楽しめる服。トレンドとも呼応するのですが、基本的にオーバーサイズのアイテムが多いのには、ストレスを感じずに着用してもらいたいという気持ちも込められています。
ーーブランドはどのようにして始まったのですか。
20年程、洋服に携わった仕事をしてきました。ずっとファッション畑で働いてきたんです。生地を開発、研究するうちにハイクオリティーで低価格の洋服を消費者に提供したい気持ちが生まれたのがブランドを立ち上げたきっかけです。
ーーデザインはメンズ服の基本的な要素が含まれていると思います。
そうですね、コンセプトは週末に気軽に着て出かけられる服がテーマです。今季はアウトドアやミリタリーのものも少し混ぜてみました。女性が着ると、ボーイフレンドの服を着て、ふらっと街に出てきたようなノンシャランらな雰囲気を出せて、今っぽく見えると思いますよ。
ーー服作りのプロセスについて教えてください。
長年生地を扱っていると、服をパッと見た時に、大体のプライスレンジだけでなく、生産背景も想像できるようになるんです。大事にしているのは、誰もが気軽に楽しめるということ。だからまずテーマよりも何よりも、どのくらいの価格のものを作るか、というところから考えるんです。5、6万円が上限とすれば、形はコート。素材はウールかコットンか。シルエットは、どの層に届けるべきか、等々。価格からすべて逆算してアイテムを作っています。そして、服の形が決まったら、それをできる限り一番グレードの高い生地で表現する。他ではあまりやっていないアプローチだと思いますが、適正な価格で提供するというは今の時代、とても大事なことだと考えています。
5箇所の専属工場で服を作っています。シーズンで少し余剰金が出たら、専属工場でのファブリック開発に励みます。そして、工場を持っている最大の強みは、良いものを正しい価格で提供できること。だからプロの人たちが見て、値段を当てようとするのですが、だいたい外れます。なぜならそこから、ワンランクかツーランク下の価格になっていますからね(笑)。
ーー今季、特にオススメのアイテムについて教えてください。
自分自身もリラックスして過ごしたいので、フリースは特にお気に入りのアイテム。今年はミドル丈とロング丈の両方を作成しました(シップスではミドル丈のものを展開)。フリースって、着心地も良くて保温性も得られるのですが、着込むうちに、最初はモコモコとしていた生地が、潰れてボサッとしてしまう。自身もそれが嫌だったので、常にふわっとした質感で、耐久性の強い生地を探しました。
ーーワンアイテムにかける情熱がすごいですね(笑)。ちなみに、デザインのインスピレーションはどこから得ますか。
仕事柄、いろいろな都市を回るのですが、そういった街全体から影響を受けることがほとんどです。街には時代の空気を表すもの、時代が求めるもので溢れています。風景、人、日常。それらから受け取ったものと、その時のファッショントレンドをミックスしてデザインしています。特に好きな街は、渋谷と神宮前、ロンドン、フランスのマレ地区もお気に入りの一つです。
ーー日本のファッションについてはどのように感じていますか。
世界中どこよりもグローバルな世界観を持っていると思います。アメリカの東海岸的な知的なスタイルもあれば西海岸的なリラックスしたものもある、ヨーロッパのクラシックスタイルも見られます。渋谷や神宮前には、世界のファッションが凝縮されていると思いますよ。
ーー最後に、シップスマグの読者の方にメッセージをお願いします。
若い頃から日本のファッションには憧れを抱いてきました。私自身、日本に何度も来て、日本のセレクトショップでもたくさん買い物をしました。今、韓国では服作りの土壌がようやく整ってきて、いろんなブランドが世界から注目されはじめています。そういった現状を、実際に店舗で見て、触って、着て、感じてもらいたい。ぜひ、”気軽に”楽しんでもらえばと思っています。