今秋冬から本格的に始動するアメリカはポートランド発のストリートブランド「LAST HEAVY」。ワンシーズンに2つのコレクションを製作し、アイテムはそれぞれ100近い数が展開される。モノを見ても、イメージヴィジュアルを見ても、圧倒的なセンスとクオリティを感じさせる。間違いなく次世代を牽引していくブランドだ。今回は、そんなブランドの創設者の一人、Caesy Oney(ケイシー・オニー)にメールでのインタビューを敢行。コンセプトやアイテムアプローチについて語ってもらった。
ファッションの可能性を押し広げ、
愛のある人々と繋がりたい
まずはブランドコンセプトについて教えてください。
「ユニセックスのユニフォームを提示すること。形と機能のバランスが取れたアイテムたちは、一過性のトレンドに左右されることがありません。自分自身もハードに着倒すような装いが多いので、耐久性や、フィット感にはこだわっています」
”着やすさ”だけに留まらない世界観を持っているブランドだと思います。
「このブランドは「反ファッション」を志向しながらも、私自身がファッションやデザインのフォロワーでもあるので、ファッションから逃れることはできません。デザインの志向性は、私が見ているものから引き出されます。ファッションとデザインの可能性を押し広げ、愛と優しさを持ったすべての人と関わりたいと、そう思っています」
ブランド名の由来と、そこに込めた意味について教えてください。
「名前はブランドの重要な部分です。立ち上げ時に、チームでブレストを行い、名前については長いミーティングを重ねました。ある時点で、私はこのブランドを[重く続く(LAST HEAVY)ブランド]にしたいと書き留めました(「HEAVY」という単語は、「難解な」「退屈な」「もの憂げな」などネガティブなニュアンスでつかわれることが多い。それがスラングとして転じてポジティブな場面で使われることもある)。このプロジェクトには、他に類を見ない複雑な創造力があり、自分たちの趣味や期待を語ることで、政治的なメッセージを伝えたり、ユーモアを分かち合ったりすることができます。ラストヘビーは、重く続くブランド。シンプルなネーミングになったと感じています」
賢く、才能のある
友人たちとともに
モノつくりを行う
ブランドのアイデンティティや定番と呼ぶにふさわしいアイテムがあれば教えてください。
「このブランドには2つのコレクションがあり、コレクションには、それぞれ約100個の作品があるので、どれが象徴的な作品なのかは、誰もが違う意見を持つと思います。単一のシルエットや製品に大きく依存しているブランドをよく見ますが、私は、服だけでなくイメージも含めて、提供できるすべてのものが評価されるべきだと考えます。もし、選ぶとすれば、Tシャツやパーカなどです。コレクションの中で最もシンプルなアイテムですが、細部にこだわり、プリントも含めて世界観を強く伝えてくれます」
デザインについて重要視していることは何でしょうか?
「私たちの色と装飾は、個別にストーリーを持った物語か、単純に感情の発露の一部分だったりします。写真やイラスト、刺繍など、コレクションに入れるべきアートワークには、説得力のある物語が必要です。ブランドに”文脈”を追加することもできますし。興味を持ってくれた方から質問された時に、語って聞かせる物語があると面白いでしょう?」
影響を受けたブランドやアート、時代や都市などがあれば教えてください。
「家族や友人などの身近な存在からの影響はもちろんあるでしょう。加えて、デザインや芸術にまつわる興味や関心については、あげればキリがありません。そして、幸いなことに、信じられないほど多くの、賢く、才能のある友人たちに恵まれています。そういったコミュニティの繋がりからの影響は大きいですね」
日本の若い作り手に、刺激を与えられれば嬉しい
ものづくりは、どのようなチーム、分担で行っているのでしょうか? おおまかな流れを教えてください。
「私の創造的なプロセスは、コミュニティが全てを司ります。アートワークのすべて、作るものすべては、私の仲間と私が共有する”ハチの巣”のような産物です。チームは、ポートランド、ロスアンジェルス、ニューヨークに広がっていて、ともにプロジェクトに取り組んでいます。関係するすべての人の、愛の産物ともいうことができます」
日本での展開に伴い、日本の顧客にどんなところを注目して欲しいですか?
「日本の人々は、とても正直で、物事を正確に見極める目を持っています。ポートランドを代表するデザイン・コミュニティのような責任すら感じている私たちのブランドは、きっと快く受け入れられることでしょう。私たちのブランドが日本の人々、とりわけファッションやアートに興味を持つ若い方々に刺激を与えることができればと嬉しいですね」