気鋭のデザイナーが手がける話題のブランドもあれば、再び脚光を浴びる老舗ブランドもある。トレンドとは周期的に変わるもの。ここでは、今SHIPSがオススメする、旬なブランドを連載形式でご紹介。第一回目は、イタリアンテーラードを軸にモダンな服作りで魅了する「CARUSO」にフォーカス。
CARUSOとは
1958年、ナポリでテーラーを営んでいたラファエロ・カルーゾにより、パルマで設立されたCARUSO（カルーゾ）。彼の才能は自身のブランドだけでなく、ラグジュアリーブランドにも落とし込まれ、世に広まった。2008年には、現CEOのアンジェローニが会社を引き継ぎ、コレクションを年2回発表。伝統的なハンドメイドと最新のマシン技術を融合させた、合理的な生産方法を取っている。柔らかく美しい、上質な生地のみを取り扱い、「ロロ・ピアーナ」や「エルメネジルド ゼニア」など高級生地を指名するファクトリーとしても有名。今シーズンSHIPSでは、ブリティッシュテイストの傾向が強く見られるスーツやコートを展開する。
ファクトリーが
生み出す着心地の妙
カルーゾのファクトリーは、一流メゾンブランドの御用達。支持を受ける理由はもちろん仕立てにあり。ファブリックの特性を知り尽くした優秀なデザイナーのもとで、生産が行われている。それはショルダーひとつとって見てもそう。丸みを帯びた美しいいせ込みは、ほんのりとギャザーが寄せてあり、ナポリらしいソフトな仕立ての名残が垣間見える。
イタリア×イギリスの
ハイブリッドディテール
イタリアのスーツは、英国から入ってきた伝統的なスーツを、独特な柔らかさ（色気）をもたせて、独自に作り直してきたという歴史がある。通称「雨降し」と呼ばれる、ギャザーを寄せてふっくらとさせた袖付けはその代表。ボトムスで言えば、動きやすさに繋がるプリーツがそれに当たる（プリーツ自体はイギリスが発祥）。イギリスではプリーツの向きが内側のインプリーツが多く見られるが、アメリカやイタリアでは外向きのアウトプリーツが主流。カルーゾでも例外ではなく、この仕様こそが独自の色気のある”ゆるさ”に繋がっている。また、英国的なディテールといえば、ジャケットの脇ポケットの上についたチェンジポケットも挙げることができる。小銭を入れるための機能的な細部も相まって、カルーゾならではの“伊×英”のハイブリッドな魅力が生まれるというわけだ。
トレンドのシルエットや
素材使いがうまい
カルーゾの現CEOは元はブリオーニ社で指揮を採っていた人物。カルーゾに移っても、辣腕を発揮し、トレンドを大胆に取り入れたアイテムを多く送り出しています。今季はトレンドであるコーデュロイ素材のスーツや、赤茶系のガンクラブチェックのウールを用いたコートなど、ひとくせあるファブリック使いに注目だ。
カルーゾのスーツは、まさに今季のトレンドのど真ん中。はやりのブリティッシュパターンを、柔らかい仕立てで余裕や色気、貫禄につながるリラックスしたシルエットで表現。台襟のしっかりとしたクラシカルなシャツに、こちらもドレストレンドの一つである小紋柄のプリントタイのVゾーンで、旬を感じる“レトロ”なムードに。
ブラウンやベージュなどの暖色系のブリティッシュチェックも今季のトレンド。柔らかく軽いウールコートはダブルのフロントで、ドレープ感が美しい。これもまた、優雅で上品なシルエットを生み出します。ナチュラルに肩が落ちるラグランスリーブというのもポイント。スーツはコートと同系色、インナーはチェックのブラックを拾って、引き締めるのが正攻法。
コート ¥198,000(+tax) / CARUSO
スーツ ¥198,000(+tax) / CARUSO
セーター ¥32,000(+tax) / Drumohr