2017年春夏シーズンに、スウェーデンから日本への初上陸を果たした“Poetic Collective(ポエティック コレクティブ)”。スケートブランドを標榜する彼らの活動は、ウェアや小物などのプロダクト展開のみならず、映像やグラフィック制作、それらを融合したアート展示やインスタレーションなど多岐にわたる。幅広い活動を通して見え隠れするのは、アメリカ発でもヨーロッパ発でもない北欧発ならではのスケートブランドの新しいかたち。ブランドの中核を担うディレクターのトムとポールに、それらを踏まえてブランド設立の意図とこれからのヴィジョンを語っていただいた。
「Poetic Collectiveは、商品展開を
するだけのブランドではないんです」(ポール)
??まずは、ブランド設立の経緯とコンセプトを簡単に教えてください。
トム「スモールスケートボードコミュニティとして3年前(2014年)からムービー撮影を始めて、数ヶ月後には自分たちでウェアのデザインを起こし始めました。その頃には、ブランドとして正式にプロダクトを発表する事を決意しましたね。僕は、当時art academy in Berlinで水彩画や油絵の勉強をしていて、相方のポールは、スウェーデンの学校で音楽とデザインを学んでいたんですが、アートの歴史や水彩画の魅力を知るうちに、自分の元々好きなスケートカルチャーの既存の形は、すごくニッチで狭いコミュニティのものだと感じるようになったんです。そういう経緯で、いつからか自分たちのアート的感覚をスケートボードカルチャーやストリートファッションにもっとうまく結びつけられないか? と思うようになりました。自分たちは、(Poetic Collectiveを通して)両者の持つ哲学や美学を融合したいと思っているんです」
ポール「僕らは、幼い頃からスケートに親しんではいましたけど、いつも人とは違った興味の持ち方やアプローチをしていたんです。トムがベルリンにいて、僕が音楽とデザインを学んでいる時もそうでしたし、Poetic Collectiveを始めたこと自体もそうです。そういう精神は、ずっと継承していると思います」
????確かに、ブランドの表現方法はどれもユニークですよね。ウェアだけでなく、ムービー製作やインスタレーションに関しても独自性を感じます。そこにはどんな意図があるのでしょうか?
トム「ありがとう! そういってくれると嬉しいよ。ユニークなアプローチをするという事が僕らのブランドにとってとても大切なことですし、それを生み出したいという気持ちが僕らの原動力になっています。どのクリエーションに関しても同じくらいこだわりを持って取り組んでいますし、Poetic Collectiveという集団は、ただ商品の展開をするだけのブランドではないんです。いわば“クリエーションの場そのもの”という解釈で活動しています」
??なるほど。それは、あらゆるものから伝わってきますね。ブランドのアイデンティティや定番と呼ぶにふさわしいアイテムがあれば、教えていただけますか?
トム「全てのアイテムに関して、ただのファッションアイテムだとは思っていないんです。どれもが“アイデンティティーの一部”だと認識しています」
ポール「確かに、そのとおりです。すべてのクリエイションがアイデンティティの集合体だと言えると思います。ルックもそうですし、ボードも洋服も、スケートのビデオもすべてがそうですね」
「今の北欧のデザインに足りないものは、
“意外性”だと思っています」(ポール)
??そういう認識も興味深いですね。それでは、今の北欧のスケートシーンやファッションシーンについても教えていただきたいのですが、お二人は率直にどう感じていますか?
トム「北欧のファッションやデザインに関しては、ミニマムなアプローチに特徴があると思います。そういったシーンに自分たちも大きく影響を受けていますね。すべてに満足しているわけではないですが、スウェーデンから出てくるムーヴメントのなかでは、特にスケートシーンは面白いと感じています。みんなが良質なものを作ろうとしていますし、例えばカリフォルニアの西海岸テイストに代表されるようなステレオタイプなスケートブランドと比べても、よりアーティスティックなアプローチをしていると思います。それに、北欧のスケートシーンは、これからまだまだ進化する余地があると確信しています」
ポール「すごくインスピレーションに左右はされるんですが、既存のものをマネるよりも、直感を信じて新しいものをクリエイトする気持ちは大切だと思いますね。スウェーデンのシーンには、そういう態度があると思います。今の北欧のデザインに足りないものを挙げるとすれば、“意外性”だと思っています」
??なるほど。では、北欧に限らず、今現在、気になっているシーンや都市、ムーヴメントなどはありますか? 理由も含めて教えてください。
トム「マルメやコペンハーゲンは、スケートという観点からいえば、とても良い環境になってきていると思いますよ。警察官とチェイスを繰り返した結果、スケートのできる場所が増えてきましたし(笑)。これはとても喜ばしいことですね! それらの都市は、ファッションに関してもハイファッションとストリートファッションの垣根を取っ払った自由なクリエーションが多く見受けられるのも興味深いです」
ポール「僕は、ムーヴメントでいうと、ある特定の都市や地域の話ではなくて、今のトレンドが世界的にすごくクリエイティブのプロセスを重視していることに感銘を受けています。世界中の人が繋がって、自分たちの予期しないものが常にコラボレーションとして生まれていますから。そういった形で、将来Poetic Collectiveも世界中に広がっていくことを楽しみにしています」
????そんな現状のなかで、お二人はモノづくりのインスピレーションを何から得ることが多いんですか?
トム「やっぱりアートとその歴史から受ける影響は大きくて、それをスケートやストリートファッションにミックスして、その過程でなにか面白いものが生まれないかと常に考えています。ただ、それらはあくまで要素でしかないので、僕らなりのオリジナリティとしては、何に対しても新たな見方や表現をしていくことが大事だと思っています。もちろんスケートライフや友達との何気ない日常、旅行なんかも常にアイデアの源ではありますね」
ポール「んー、どう表現すれば良いかわからないんですが、トムの言ってることに概ね賛同しますね。俺らは常にいろんなものに挑戦していますし、なにか新しいものがひらめくまで、いろんな要素(カルチャーや思想)が頭の中で混在している感じですね」
「日本はスケートもファッションも
オリジナルを突き詰めていると感じます」(トム)
????影響を受けたブランドやアート、時代や都市などをもう少し具体的に挙げるとすれば何になりますか?
トム「アートの歴史に関しては、寛容な視点で様々な要素を参考にしてきましたけど、特にアブストラクトアートに影響を受けることは多かったですね。具体的なブランドでいうと、デンマークのSOULLAND(ソウルランド)です。ファッションの解釈をより広げるような活動に凄く感銘を受けました。あと、僕は多くの時間をベルリンで過ごしているので、ベルリンの街の空気感やムードが自分を形成していると思います」
ポール「僕の場合は、今住んでいるモントリオールでの出来事は無視できないと思っています。プロジェクションや3D、 インタラクティブアートの興味深いアーティストが多いので、表現方法はそれぞれ違いますが、そこからの影響は大きいと思います」
????モノづくりをする際は、どのようなチーム編成や分担で行っているのでしょうか?
トム「基本的には、僕とポールの二人です。僕がスケッチやドローイングで大まかな表現をしたものを元にして、ポールがフィックスするという流れですね。そんなやりとりを繰り返して、自分たちが納得する形に仕上げていきます」
ポール「例えばシューティングなどをする場合は、様々なスタッフに助けてもらいますが、基本的なコンセプトを考えているのは俺とトムの二人ですね」
????そんなお二人のクリエイションが、日本でも展開を開始しましたが、日本に対しては、どんなイメージをお持ちですか?
トム「実は、まだ日本には行ったことはないんですが、ぜひとも訪れてみたいと思っています! 日本はスケートもファッションも世界の先端に位置していますし、僕らも興味が持てるような、オリジナルのスタイルを突き詰めていると感じています」
ポール「僕も同感ですね。一生のうちに行っておきたい国のひとつですね。日本とスウェーデンは全く違う土壌なのに、不思議と共通点がたくさんあると感じています。そんな日本で僕らのプロダクトが販売されることを大変嬉しく思いますよ」
????最後に、これからのヴィジョンを教えてください。
トム「自分たちのコレクションをより充実させて、まずは内容としてもフルでラインナップできるようにしたいですね。機会があればユニークなコラボもしたいですし、ビデオのコンテンツ制作も引き続き力を入れいく予定です。2017年はとても忙しくなる気配がありますし、その中で自分たちなりの動きを楽しんでいければいいですね」
ポール「素晴らしいことは時として短命ですし、良いクリエーションを維持していくのは、すごく骨の折れる作業だとも思います。だけど自分たちの感覚や価値観を信じてやっていけば、きっとうまくいくと感じています。トムが言ったように、Poetic Collectiveは“クリエーションの場そのもの”ですが、僕らの活動が充実することで、その意味合いは年々強くなっていくと思います」
ポエティック コレクティブ
ベルリンのアートスクールで水彩画や油絵を学んだトムと、スウェーデンで音楽やデザインの創作活動をしていたポールの二人によって、2014年にスウェーデンを拠点に設立。小さなスケートコミュニティとして映像やビデオ、グラフィック制作などからスタートし、現在は、カットソー、バッグやキャップといったプロダクト制作まで行うスケートカンパニーに成長を遂げている。シーズンごとにコレクションを発表するアパレルブランドとは一線を画した活動内容と、北欧ならではのミニマルでグラフィカルなクリエイションは、SNSなどを介して世界中のスケーターから共感を得ている。日本では、2017年春より展開を開始。
Budapest from Poetic Collective on Vimeo.
ハリのあるコットンポリの裏毛ボディ。バックに今季を象徴するアブストラクトなグラフィックが施される。
パーカ 各¥8,300 / Poetic Collective
スウェットもパーカ同様、モノトーンボディで展開。グラフィックのみを配したミニマルなアプローチが基本だ。
スウェット 各¥6,400 / Poetic Collective
ロンTはリブなしのゆったりめボディ。リラックスムード全開で大きめを着こなしたい。
ロングスリーブTシャツ ¥5,500 / Poetic Collective
パーカ同様のグラフィックはTシャツにも配される。縦長のクラシックなボディを採用している。
Tシャツ ¥3,700 / Poetic Collective
無駄を削ぎ落としたウエストバッグとジムバッグには、アイコニックなブランドロゴのみがプリントされる。
ウエストバッグ ¥2,700 / Poetic Collective
ジムバッグ ¥2,700 / Poetic Collective
キャップは、被りが浅めの6パネル仕様。グラフィカルな刺繍のみのミニマルデザイン。
キャップ(ホワイト・ブラック) ¥3,200 / Poetic Collective