架空の左利き女性のシグネイチャーレーベルというテーマを根幹に持ち、男性的な要素と女性的な要素の両方を称えたアイテムを提案しているブランド『JANE SMITH(ジェーン?スミス)』。 2014年AWにデビューして以来、注目を集めるブランドが今季からSHIPSでも取り扱いスタートとなりました。今回はバイヤー佐藤とともに、『JANE SMITH』のアトリエを訪問。 ブランドを構築するディレクター、デザイナーと佐藤を含めた4名による対談を行いました。取り扱いに至る経緯から、『JANE SMITH』のあり方や魅力など、多岐に渡ってお話ししていただきます。
女性はもちろん、男性が見ても理解・納得出来る良いものを作りたい
??今シーズンから店頭での取り扱いがスタートしていますが、まずその経緯を教えてください。
バイヤー・佐藤弘和(以下:佐藤):これまでルックの写真や商品を見ていて、絶妙な男性的要素や素材の落とし込み方がとても気になるところがありました。見るたびに“うちの店に置いたらどうかな?”とシュミレーションしていて。率直に可愛いとも思うので、女性バイヤーと一緒に、取り扱わせていただきたいというお願いで展示会へ伺ったのが経緯です」。
??JANE SMITHとはどういうブランドなのでしょうか?
ディレクター・吉田雄二さん(以下:吉田):実は私がJOHN MASON SMITHというメンズブランドをデザインしていまして、その展示会を開催していたときに、女性バイヤーの方や、女性の友人が買ってくれることが回を重ねるごとに増えて行きました。その流れで“レディースに向けて服を作りたいな”と思ったのが立ち上げたきっかけです。
そこで妻である和井田(デザイナー・和井田多佳さん)に相談したところ、和井田から川口(デザイナー・川口ユリナさん)も誘いたいと自然の流れで決まりました」。
和井田:私は物造りよりバイヤー経験の方が長いんですが、彼女(川口さん)は物造りをメインにアパレルに携わっていました。私が彼女の作る服が凄く好きだったので、そう言った意味で一緒にやれたらなということでデザインをお願いしました。
川口:私自身、今まで作っていた服自体、メンズっぽい物が多かったので、メンズブランドから派生したレディースブランドと言うのは、自分のテイストにも合うと思いましたし、仲が良かったので、このブランドに携わることは案外、自然な流れで決まりました(笑)」
??ブランドのコンセプトに架空の左利きの女性・JANE SMITHを上げていらっしゃいますが、そこはどう決められましたか?
吉田:メンズブランドのJOHN MASON SMITHでも同じように、左利きの男性を上げているんですが、ベーシックだけどちょっと捻りがあったり、なにかフックになるポイントを服に作りたいと思っていまして。辿り着いたのが左利きなんですけど、JOHN MASON SMITHって僕のことなんですよ。洋服って利き手とか無いと思うんですけど、例えばポケット付きの服でデザインに影響がないものは、左利きで使いやすいデザインにしたりしていて。そのコンセプトをJANE SMITHにも取り入れています。ディテールもそうですが、メンズと同じ生地をメンズの工場で縫製しています。
??メンズから生まれたレディースブランドとして、他とはどのように差別化していますか?
川口:まず女性特有すぎるもの、例えばレースなどはあまり使わないです。逆に女性らしい素材でも、女性的過ぎないディテールやフォルムに落とし込むように意識しています。3人でお互いの納得出来るポイントを探りながら作り上げています(笑)。
吉田:デザインに対して、男女で白熱することもありますね。でも一つの着地点としては、男性が見ても納得出来るものであるということです。
川口:そう、男性が手に取って見て、理解出来る範囲を意識しています。
ブランドのアイデンティティを活かしつつ、
売り場を格上げしてくれるラインナップがセレクトの魅力
??では実際に佐藤さんがピックアップしたアイテムを見てみましょう。
佐藤:ニット、スカート、ワンピースにライダースとありますが、これらは比較的すぐに決まりました。ニットも好評ですし、ニットスカートやワンピースも入ってすぐ、いい反応を頂けています。
やっぱりブランドさんから買わせていただくものって、自分たちで作れなかったりとか、ブランドさんの世界観やアイデンティティが反映されているものを買いたいと思っていて。なので、ニットスカートなんかは、色味やボリュームを見て、うちではまず作らないなと思ったので、迷いなくオーダーしましたし、内覧会でも評判が良かったです。このスカートとか、よくこの色に辿り着きましたよね。
和井田:このスカートはちょっと揉めましたね(笑)。色もそうですが、価格設定でも。
川口:カシミアの糸で有名なメーカーの、極細の糸を使用していて肌触りもいい。お安い糸ではないですけど、どうせ作るんだったらということで私と和井田で吉田を説得しました。
吉田:今はセレクトショップのオリジナル商品のクオリティがどんどん上がってきているので、どうやって差別化するかと言う話し合いを良くするんですけど、より感度がいい人へ向けての服を作った方が、バイヤーさんなどに響きやすいと思っています。それは色味や少し尖った形だったりすると思うんですが、それが店頭に並ぶ時に、お店の価値が上がったり、雰囲気がさらに良くなるような商品造りが、私たちに求められていることかなと思うんです。
佐藤:おっしゃる通りです。
??では最後に吉田さん、和井田さん、川口さんから見て、佐藤さんのセレクトはいかがですか?
吉田:凄くバランスがいいなと思いました。メンズとレディースのポイントがバランスよくピックアップしていただいているなと。
佐藤:良かったです! ピックアップする時って緊張するんです。デザイナーさんやプレスの方はもちろん、業者の方などもいらっしゃる中で、“この人、どう組むのかな?”とか思われていそうで、緊張します。持ち帰ったあと、自社での評判も気になりますし。新しく買わせていただくブランドさんは、会社の期待もありますので。でもJANE SMITHに関しては好評です。
和井田:私はライダースをピクアップされたとき、JANE SMITHのシグネイチャーっぽいアイテムでもあるので、そこを押さえつつ、その他のアイテムの色選びが意外と言うか。チャレンジしていただきながら、ブランドのアイコンも押さえていただいているところを見ると、さすがだなと思いましたし、純粋に嬉しかったです。
川口:もう言うまでもなくちゃんとツボを押さえてもらっているなという感じです。
佐藤:そう言っていただけて本当に嬉しいです!
??店頭でも好評なだけあって、佐藤さんのピックアップは間違いなかったようですね。本日は貴重なお時間をありがとうございました!
店頭へも好感触だったと言うニット。川口さんと和井田さんのこだわりによって加工を施し、このフワフワ感を創出。「展示会で川口さんが着用されているのを見て、一緒に来ていたバイヤーと即決しました(佐藤)」
各?34,000(+tax)
美しいラベンダーカラーのニットスカート。色や形を3人で熟考しながら作り出した逸品。「これはもう色に一目惚れしました。自分たちで作るとしても出さない色だと思ったので、是非取り扱いたくて(佐藤)」
?54,000(+tax)
メンズ服に多く用いられる生地のサージを使ったワンピース。「これもやはり生地選びに惹かれて、僕が押し切りました。レディースには使わなそうなもの、男前な生地ですけど、ベンツだったり男性的な部分の落とし込み方が凄く素敵だったので(佐藤)」
?29,000(+tax)
JANE SMITHのシグネイチャーモデルとなるライダースジャケット。「これは売れる売れないは置いといて、とにかくお店に入れたいと強く思った商品です」
?108,000(+tax)