“一生モノ”にするならしっかりケアを!  男のエイジング講座〜初級編〜 “一生モノ”にするならしっかりケアを!  男のエイジング講座〜初級編〜

“一生モノ”にするならしっかりケアを!
男のエイジング講座〜初級編〜

よく男の“一生モノ”という言葉を耳にすることがある。それは言わずもがな経年変化を楽しみながら長く使えるアイテムを指す。だがしかし、ジャケットにせよ靴にせよ長く付き合うなら、それなりのケアが必要となる。ではケアとはいったい具体的にどんなことをすればよいのか? 今回はオイルドジャケットとブーツ、そしてダブルモンクシューズに焦点を当て、実際にそれを長年愛用しているSHIPSのスタッフ二人に、実際のケア方法を聞いてみた。実は習慣化すればそんなに難しいことではない。ポイントを押さえて明日からぜひ実践を!

バブアーのオイルドジャケット&
オールデンのタンカーブーツの場合。

SHIPS 営業管理 岡部邦彦

ーーバブアーは何年ぐらい愛用しているんですか?

「今日持ってきたビデイルは、買ってから8年ぐらい経ちます。モデル違いも合わせて合計5着所有しています」

ーーオイルドのジャケットは、まず匂いなども含めてクローゼットの保存方法が気になるんですが?

「今の現行モデルは昔と比べて匂いがあまりしなくなってきてますよ。ただ、やはりクローゼットに入れる時はガーメントケースなどのカバーに入れるのがベターだと思います」

ーーオイルの塗り方を教えてください。

「自分の場合は専用のオイルを湯煎してスポンジに染み込ませて塗ります。すぐに固まるので湿気があるお風呂場などでやることをおすすめします。もしくは暑い夏にやっておくのもいいと思います。自分は年間を通して夏場に1回やるのみですが、オイルの入り方を気にするなら、2?3ヵ月に一度やれば綺麗に保てます。そこは好みもあるかと思います」

ーー年に1度でも問題はないのでしょうか?

「まったく問題ないと思います。経年変化でオイルが抜け出て味わいが増すのがオイルドジャケットの最大の魅力ですし、バブアーは非常にタフにできているので、そのぐらいの頻度で十分長く付き合えると思いますよ。ほぼ何もしなくても自分だけのアタリが出るデニムのような感覚に近いですね」

ーー逆にオイルを抜きたいときは?

「洗濯機に放り込んで洗うこともできますが、そうすると抜け出たオイルで大変なことになるので、専用のクリーニングに出すことをおすすめします」

ーー次にオールデンのタンカーブーツですが、こちらはどのぐらいの頻度でどのようなケアをしていますか?

「2ヵ月に一回のペースで、汚れをブラシなどで落としてから皮革専用のローションを塗っています。革に栄養を与えてツヤを出してから、そのあとに同様の効果があるトロッとしたクリームを塗ります」

ちなみにキャンバスのバッグにも自分でオイルを塗り込んでいる。こちらのフィルソンのバッグは6〜7年使っていて、オイルの表情の変化を楽しんでいるという。
コードバンに使用しているローションはドイツ製のWORY(左)。そのあとに塗り込むクリーム(右)はイタリア製のM.MOWBRAY。

ーークリームを塗る際の注意点などあれば教えてください。

「色が褪せてきてそれを元に戻したいときは、アッパーの色味より少しだけ濃い色のクリームを塗るということですかね。あとコードバンに関しては黒のクリームを使うと色が濃くなっていきますね。ただ傷があるとそこだけ濃くなってしまうので注意が必要です」

ーーお手入れは基本的にはそれだけですか?

「コードバンというと難しく考える人もいますが、数日に1回履くペースでしたら、それで十分綺麗に履き続けられます。ちなみに自分は7年履いています。その間クレープソールを1回は換えましたけど。アッパーはずっと経年変化で味わいが深まっていますし、雨の日に履かないなどのちょっとした気遣いをすれば、ほぼ一生履けると思いますよ」

クロケット & ジョーンズの
ダブルモンクシューズの場合。

SHIPS 銀座店 伊藤 誠

ーーこちらのダブルモンクシューズはどのぐらい履いているんですか? ケアの頻度も教えてください。

「4年ぐらいです。だいたい週に1〜2回履くんですが、メンテナンスするのは月に2回ですね。仮にそれ以上履く場合は、毎週1回はケアしたほうがいいと思います」

ーー常にやるケアの方法は?

「自分のやり方は、まずはブタ毛のブラシでコバの汚れを中心に落とします。そのあとで水溶性のクリームを使って、1度汚れと油分を取り除いてから、ローションを薄く塗り込みます。そして仕上げにツヤの出るクリームを塗るという手順ですね」

伊藤はケアする際、W.MOWBRAYのステインリムーバーなどで一度汚くなった油分を落としてからローションなどを改めて塗り込むことを実践している。

ーー塗るときは何を使っていますか?

「使い古しのTシャツに染み込ませて使っています。Tシャツはとても塗りやすくておすすめですよ」

ーークリームやローションを塗る際のポイントはありますか?

「少しの量をしっかり伸ばして塗り込むということですね。たくさん塗ってしまう人がいますが、それは革に浸透しにくくなるので避けたほうがいいです。ケアしてクリームを塗ったあとは、最低でも一昼夜は染み込ませて、丸2日ぐらいは履かずにシューキーパーをしっかりと入れておくことも重要です」

ーーシューキーパーはやはり重要なんですね

「履いたときにできるシワも伸びますし、アッパーの崩れも直してくれますので、靴よりも少しだけ大きめのものをしっかり入れて保管することが鉄則です。革靴1足に対してシューキーパーは1つ必要だと考えたほうがいいですね」

ーー例えば本日履いているほうのウィングチップシューズだと、ダブルモンクとケアの方法は変わりますか?

「こちらはまだ履き始めて2ヵ月半ぐらいのオールデンですが、アッパーがコードバンなので、ちょっとケアが異なりますね。ブラシは傷をつけないようにするために、ブタではなく柔らかい馬の毛を使っています。それでメダリオンなどの汚れを優しく念入りに落とします」

靴を長く履くためにシューキーパーは不可欠。1日履いた靴を休ませる際は、必ず少し大きめのものを入れて歪みや崩れを直すことが必要だ。履きシワも伸びてアッパーが綺麗に蘇る。
最近履いているオールデンのウィングチップ。コードバン仕様のためケアをする際は傷がつかないように配慮が必要だ。汚れを落とす際は柔らかな馬の毛を使っている。

ーー新しい靴は、何か最初にやっておくべきことはあるんですか?

「実は靴を購入して箱を開けたときに、若干乾燥していることがよくあります。足入れをする前にクリームなどで油分をなじませて、一昼夜染み込ませてから履き始めるのが理想ですね」

ーークリームの色などは、どういうものを選ぶのがベターですか?

「基本的に革靴は黒と決めているので、クリームは無色のものを使っていますが、履き続けていくうちにムラが出てきたときは黒のクリームで整えます。目安としてはアッパーの色より少しだけ濃い色のクリームを選ぶのがいいと思います」

ーーレザーソールの場合はどうすればよいですか?

「履く頻度によりますが、アッパー同様の頻度でケアすべきだと思います。ソールといってもレザー製の場合は、特にしっかりと油分を染み込ませてケアしないと靴の寿命が縮まるので注意が必要です。でもしっかりとケアさえしていれば必ず長く履けます。靴は裏切りません!」

今回のエイジングケアの一例を参考にして、長年付き合える定番は本当の“一生モノ”を目指したい。ここにピックアップしたのは、愛すべき男の名品ばかり。ケアのこともしっかりと考慮して、自分の生涯の相棒を選びたい。

Barbour

英国が誇るオイルドジャケットの代名詞。最高級のエジプト綿に防水オイル加工を施したボディは、1894年以降、フィールドスポーツなどの分野で紳士たちに愛されてきた。着続けることでオイルが程よく抜け、味わいのある表情になるため、唯一無二の自分だけの1着となる。こちらは短丈のスタイリッシュなモデル“ビデイル・スリムフィット”。

ジャケット ¥49,000(+tax)/Barbour for SHIPSMORE

GHURKA

今年で設立から40年を迎えたアメリカ発バッグブランド。厚手のグルカキャンバスとレザーのコンビで仕上げたタフなバッグは、経年変化でこなれた風合いが増す。こちらは別注でホーウィン社製のクロムエクセルレザーを使用したオールネイビーモデル。復刻させたNo.93の“サファリ”はショルダーバッグの代表格だ。

バッグ ¥170,000(+tax)/GHURKA for SHIPSMORE

CROCKETT & JONES

ノーザンプトン生まれの英国靴を語る上で外すことのできないブランド。こちらは定番のUチップモデル“モールトン”をベースに、コードバン仕様で仕上げた一生モノと呼ぶにふさわしい1足。グッドイヤー製法で仕上げたリッジウェイソールは、長時間履いていても疲れにくく、都市生活にもしっかりフィットする。

シューズ ¥116,000(+tax)/CROCKETT & JONES for SHIPS

Le Sellier

フランス発のレザーブランド。一点一点職人による手作業で仕上げられる植物タンニンなめしのベルトは、味わいのあるムラがあり、使い込むほどにさらに深みを増す。装飾性ではなくレザーの変化する表情が持ち味のため、飽きも来ない。もちろんトレンドに左右されることもないため長年楽しめる。

ベルト ¥13,000(+tax)/Le Sellier × SHIPSMORE
ベルト ¥13,000(+tax)/Le Sellier × SHIPSMORE