スーツのHOW TO 〜知って得する雑学編〜 スーツのHOW TO 〜知って得する雑学編〜

スーツのHOW TO 〜知って得する雑学編〜

スーツにまつわる基本的なルールやお作法を掘り下げる好例企画。第4段となる今回は、意外と知らないスーツの保管方法や細かなマナーのあれこれをご紹介します。言ってしまえば、雑学に近いちょっとしたセオリー。とはいえ、知っているのと知らないのとでは大違い。スーツとの付き合い方や着こなし方、もちろん見え方も大きく変わってくるのです!

スーツにショルダーバッグやリュックを肩にかけたスタイルは、日常的によく見かけます。仕事に必要な荷物が収納できて便利ならそれでいいのでは? という意見もごもっともですが、スーツとはそもそも肩に何かを掛ける想定で作られてはいないのです。それゆえ、慢性的に肩に何かをかけていると肩の生地が毛羽立ってきたり、ショルダーラインが崩れたりと、いいことはありません。結果的に長く着られなくなってしまうため、基本はバッグ類を肩掛けすることはしないのがセオリーです。そうなると必然的にスーツを着る際のバッグは、ブリーフやトートバッグというのが賢明です。

家に帰ってスーツを脱いで、ジャケットをいざクローゼットへ。その際はどんなハンガーをお使いでしょうか? スーツは身頃やラペルには芯地、ショルダー部分にはパッドが入っているため、構造的には変形しにくくなっています。とはいえ、袖を通して綺麗に見えるようにデザインされているため、保管するハンガーもできるだけそれを再現したものがベターです。極端に細いハンガーなどにかけているとどうしても変形しやすくなってしまいます。可能な限り人の肩に近いボリュームのあるハンガーをチョイスすべきなのです。丸みのある専用のハンガーを用意してしっかりケアすれば、ジャケットも長く着ることができます。

スーツのパンツは、半分に折ってからハンガーにかけてクローゼットに保管しているという人は多いはずです。それはNGというわけではありませんが、長持ちさせるなら、まずはパンツ用のクリップ付きハンガーを用意するのが大前提です。そして、できればこちらのように天地を逆さまにして裾のほうを留めるのが理想的。ポケットやベルトループなど多くの生地を使っている重いウエストの方を下にすることで、重力に引っ張られてパンツのシルエットを綺麗に保つことができます。加えてパンツのセンタークリース(真ん中の折り目)がしっかりついて、変なシワが入らないのも利点です。こうすることで次に穿く時も手間をかけずに綺麗に穿くことができます。

ジャケットのサイドポケットは成り立ちから考えて飾りと考えるのが一番スマート。それゆえ物を入れないのが理想です。日々の生活に必要なモバイルや財布などを入れるとシルエットが崩れてだらしない印象になってしまいます。ビジネスシーンでそれは間違いなくマイナス。どうしても必要不可欠なツールを入れるなら、できるだけ最小限にして内胸ポケットを活用しましょう。その際もあくまでジャケットの形を崩さないものに限ります。

ネクタイをクローゼットにしまう際、ハンガーにかけておくという諸兄も多いことでしょう。こちらも決して間違いではないですが、場所を取るという難点と、他の洋服などに絡まってシワがついてしまうという危険性があります。よりベターな方法は、くるくると丸めてコンパクトにしまうことです。こうすることで場所を取らないだけでなく、結んだときのシワが数日で伸びてまた綺麗に使えます。これぞまさに一石二鳥。ネクタイは丸めるのが鉄則です。

スーツを常にパリッと着こなすには、パンツのセンタークリース(真ん中の折り目)がピシッとついているというのも大切なポイントです。クリーニングに出せば綺麗なクリースがついているはずですが、何度か着ているうちにその存在がわかりにくくなってしまうということはよくあります。それは足を組むことも原因の一つになっています。そればかりか、足をよく組む人は言わずもがなパンツに余計なシワも入りやすい。こまめにアイロンを掛ける人は別ですが、スーツの装いを常にビシッとキメていたいなら、極力足は組まない! そんな一貫したこだわりも必要です。

電車に乗る時も仕事のときも座ったときはジャケットのボタンをさり気なく外すのがマナーです。なぜなら、スーツのジャケットは、直立した状態を想定して作られているため、座ると変なシワができてしまうからです。フロントのボタンを外すことで、シルエットの崩れは回避できます。そして立ち上がった際には、またさり気なくボタンを締める。そんな所作がスマートにできてこそ大人の男です。

脱いだジャケットを向かい合うように持ち、両手を左右の肩の中に入れます。

入れた手の平を合わせるように、ジャケットを中央から2つに折ります。

左右の肩先をぴったりと合わせます。

右手はジャケットに入れたまま、向かって左の肩を右の肩にかぶせていきます。 向かって左側のボディは裏返しになります。

左右のラペル(襟)が綺麗に重なるように整えます。

左手をジャケットのウエストあたりに添えます。

腕にジャケットをかけます。

これで完了! 持ちやすい方の腕に持ち替えても、椅子にかけても構いません。ショルダーとラペルを綺麗に合わせてこのようにたたむことで、シワになりにくいのです。