過去の名作の復刻や別注、進化するテクノロジーetc.……、スニーカーの興味深いトピックスは絶えることはなく、むしろ日増しに盛り上がりを見せている。そんな百花絢爛のスニーカー事情のなかからここにピックアップしたのは、どこか懐かしさを感じつつも今の装いにマッチする旬なモデルである。言わば“ニューレトロ”な新定番とでも言えるようなグッドデザインたち。次なるトレンドは、もうすでに始まっているようだ。
アメリカが誇るアスレチックブランドの代表格「サッカニー」。そのアイコニックなモデルと言えばやはりランニングカテゴリーの“JAZZ”であろう。80年代初頭に登場するやいなや世界で注目を浴びた定番中の定番だ。日本では00年代に入ってから多くの別注モデルなどが登場し、再ブレイクを果たした。こちらは、定番色のグレーのアッパーに効果的な差し色となるイエローを配したエクスクルーシブモデル。嫌味のない都会的なアクセントとして、昨今のリラックスカジュアルにもすんなりマッチする。
スニーカー ¥7,900(+TAX)/SAUCONYMORE
ロンドンにて靴作りのスキルを磨いた、デザイナー鹿子木 隆氏が手掛けるRFW。無駄のないミニマルな表情と上品な素材使いが持ち味のスニーカーは、世代や性別、国の壁を越えて支持されている。今季到着したのは肌触りのよいピッグスエードをアッパーに使用した2型。ホワイトとベージュを基調にした意匠は、合わせるウェアを選ばず、ドレススタイルの外しとしても重宝する。左のモデルはアウトソールにブラックのラインを施しているため、よりシックなアクセントとして取り入れられる。2型ともに内側にはベンチレーションを装備し、通気性も高めている。
スニーカー 各¥16,000(+TAX)/RFW
今春世界発信をスタートさせたカナダ・バンクーバーのフットウェアブランド「ピープル フットウェア」。快適な履き心地とスタイリッシュなデザインを融合させ、“クラシックカジュアル”をテーマに作り出されるスニーカーは、何よりも軽量というのが大きな魅力になっている。こちらはステッチを施したナイロン地のアッパーを採用したニューモデル“THE CYPRESS”。チャッカータイプのフォルムに厚めのラバーソールを装備したデザインは、新感覚のスニーカーと呼ぶに相応しい。言わずもがなアッパーは非常に軽くカラバリも豊富なため、合わせるウェアとシーンによって使い分けが可能だ。
スニーカー 各¥10,800(+TAX)/People Footwear
アディダスの最新テクノロジーの一つ“プライムニット”をアッパーに施した「スーパースター」がついに登場した。シームレスエンジニアリングと呼ばれる1本の糸で紡ぎ上げたニットは、足全体を柔らかく包み込み、通気性、伸縮性に富んだ独特の履き心地を生んでいる。加えて無駄の全くない編み立てのため、重量を極限まで抑えることにも成功している。言うなれば、まるでソックスを履くような感覚で履くスニーカーなのだ。ゆえにこちらは、今の時代を象徴するハイテクと80sのアイコンでもある「スーパースター」が、見事に共演した夢のモデルなのである。
スニーカー ¥14,000(+TAX)/adidas
スロバキア生まれのスパルウォートは、1950年代からある軍用スニーカーの工場を再稼動させることで、当時と同じ製法でクラシックなモデルを今に再現している。こちらはスエードとメッシュのコンビネーションで仕上げた“Marathon Mesh Low”。まさにかつてのレトロランニングを蘇らせたようなクラシック顔のデザインは、今こそ新鮮に映る。ナイロンメッシュとスエードの切り替えを施したアッパーは通気性もよく、悪路でも歩きやすいゴツめのアウトソールは、見た目にもインパクトがある。シックな単色ベースの配色は合わせやすく、多様なコーディネイトが楽しめる。
スニーカー 各¥38,000(+TAX)/SPALWART
1991年に登場したACGカテゴリーのアウトドアスポーツシューズ“エア モワブ”が待望の復刻を果たした。足入れをするだけで、抜群のフィット感を得られるハラチフィットシステムを搭載したこちらは、その革新的なテクノロジーに加えて都会的なカラーリングが当時のファッショニスタから支持された。ポリウレタン製のミッドソールは軽量でいて、エアを搭載しているためクッショニング性能も抜群。街で履く際もストレスの少ない軽快な履き心地が味わえる。その後登場した数々のモデルや他ブランドのシューズにも多大な影響をもたらした不朽の名作ゆえ、スニーカーファンならずとも押さえておきたい。
スニーカー ¥18,000(+TAX)/NIKEMORE
すべての製作工程をスペインで行い、ハンドメイドで仕上げられたミニマルシューズ。軽量で味わいのあるキャンバス地のアッパーと、天然ゴムを施したカラフルなアウトソールがモダンな配色を作り出している。ワイズがややゆったりとしていてトゥも丸みを帯びているため履きやすく、それでいてボリュームは抑えていて細身の美脚パンツにも難なく合わせられる。いわゆるクラシックなスケートシューズを想起させる無駄のないデザインでありながら、2本ステッチやしっかりと圧着された厚めのソールなど、構造自体はタフ。ゆえに長く愛用できるのも大きな魅力になっている。
スニーカー 各¥7,000(+TAX)/OLI 13MORE
カナダ発のセレクトショップ“GOODFOOT”と“NOMAD”のオリジナルブランドとしてトロントで2003年にスタートを切った「ランソム」。今季到着したのは、サイドゴアブーツをイメージさせるスエードモデルだ。足入れ部分に配された大胆なエラスティックパーツは見た目にもインパクトがありつつも、スムーズに着脱が行える。加えて程よいフィット感が心地よく、例えばタウンユースで長時間履いても快適さを損なわない。高級感のあるスエードアッパーにはステッチワークや切り替えなどが一切入らないスタイリッシュな作りのため、汎用性が高く幅広いウェアにしっくりと馴染んでくれる。
スニーカーブーツ ¥19,800(+TAX)/RANSOM
言わずと知れたスケートシューズの代表格「ヴァンズ」からは、お馴染みの“オーセンティック”(右)と“スリッポン”(左)のウールアッパーモデルをセレクト。無駄のない意匠は、あらゆるシューズの原型と言っても過言ではないが、目の詰まったウール仕様になるとそこに上品さが加わる。より現代的にアレンジされたデザインと継承されるワッフルラバーソールのクッション性能がしっかりと融合されたまさに進化型モデルのこちら。特にスリッポンはフロントとサイドを2トーンのウールで切り替えているため、よりスタイリッシュな雰囲気を醸し出す。こなれた冬スタイルの必需品となりそうだ。
スニーカー 各¥7,000(+TAX)/VANS
80年代のアイコニックなモデルとして人気を誇った「エア・ウォーク」のデザートブーツが、満を持して復刻した。ぽってりとしたアッパーのシルエットとなんといっても特徴はゴツゴツとしたシャークソール。真横から見るとそんなソールのボリュームがしっかりと主張する。さらに3ホールのチャッカーブーツタイプのため、定番のクロップドパンツや細身パンツのロールアップともバランスよく合わせられるのがポイント。しかもブラックとベージュという定番色のみの展開で、合わせるウェアに困ることはない。今新鮮に映るまさに“ニューレトロ”を体現した代表モデルだ。
デザートブーツ 各¥7,000(+TAX)/AIR WALK
こちらは91年に登場したランニングシューズ“ゲル リスペクター”の復刻モデル。通気性のよいメッシュナイロンを配したアッパーは履きやすく、ウェーブパターンを描くミッドソールは、90年代を象徴する。そんな懐かしいディテールに加えて、今のスポーティカジュアルに程よくマッチするカラーリングがこのモデルの肝。ブラックモデルには効果的なイエローライン、ホワイトモデルにはパープルの切り替えがバランスよく配される。どこかレトロでいてハイテクなイメージを持つかつての名作は、コーディネイトの幅を劇的に広げる足元の重要なアクセントとなる。
スニーカー 各¥15,000(+TAX)/asicsMORE