CERRUTI × SHIPS イタリアのレジェンドから 受け継ぐべきスーツ

　　CERRUTIをここまで成長させた張本人は、同メーカーの３代目にあたるニノ・チェルッティである。もともとはビエラ地方の職人気質な綿工場だったCERRUTIを若くして受け継いだ彼は、単なるファクトリーではなく、生地からデザイン、縫製に至るまで、一貫してアパレル生産を行う革新的な企業へと発展させた。1950年代にはミラノコレクションに参加。それまでの既成概念を打ち破り、イタリア高級生地メーカーの在り方を根底から覆していった。
　かのジョルジオ・アルマーニがチェルッティの元で働き、服作りを学んだというのはあまりにも有名な話。60年代にはイタリアブランドでありながら、パリにブティックを出店。その後レディスや派生レーベルをいくつも作り、幅広い“チェルッティ・ワールド”を展開させていった。
　そんなパイオニアとしての手腕に加えて、チェルッティは自分の洋服を多くのハリウッド映画にも衣装協力という形で登場させている。例えば1990年に公開された大ヒット映画『プリティ・ウーマン』では、主演のリチャード・ギアがCERRUTIのスーツを着用している。そんな活動もあり、彼は世界中のセレブリティとも親交が深く、彼をリスペクトする著名人も後を絶たない。
　85歳になった今も現役で、物作りのあらゆる工程に口を出すというニノ・チェルッティ。イタリア人でありながら仕事が何より好きで、夏休みもほぼ取らない彼は、職人性とデザイナー的なクリエイティビティ、そして経営者としての才覚を持ち合わせた稀代のカリスマなのだ。