DREW&CO. デザイナー、アンドレア・アンドレオリが語る
「追い求める理想のニットとは?」
2014 F/Wシーズンがファーストコレクションとなる〈DREW&CO.(ドリュー&コー)〉。イタリアのピッティ ウォモにて多くの目利きバイヤーたちを唸らせたこの新鋭ブランドは、アメリカのヴィンテージを想起させるデザインエッセンスとイタリアンフィットの着心地の良さ、そして英国的な生地使いを併せ持つニットを展開する。緊急来日を果たしたデザイナーのアンドレア氏に、ブランドのアイデンティティについて語ってもらった。
??まずはご自身のキャリアについて簡単に教えていただけますか?
Andrea(以下A):元々、生まれ育ったイタリアのモデナの実家がハンドメイドでニットウェアを作っていたんです。’80年代の終わり頃には20店舗程のショップを手掛けていたのですが、自分は17歳ぐらいからお店を手伝うようになりました。母が切り盛りしていて、当時からとてもトラディショナルなニットを作っていましたよ。
??生まれた時から、ニット作りが身近だったんですね。
A:そうですね。それからLAに渡って大学在学中からデザインカンパニーで産業デザインなどを学びました。そのあたりからヴィンテージの買い付けやリサーチなんかもするようになったんです。よくチャリティショップ(日本でいうリサイクルショップ)に行って、サビルロウのジャケットを探して買ったりしていました。そのときの経験は今の服作りにも生かされています。
??2011年からはラルディーニの物作りにも関わっていますよね。
A:自分の作ったニットをラルディーニが見つけてアクセスしてくれたのがきっかけなんです。それからニットに関しての物作りに関わっています。
??そんなニットに関するスペシャリストであるあなたが、満を持してスタートさせた〈ドリュー&コー〉は、どんな特徴のあるブランドなのでしょうか?
A:ニットをメインにしたブランドであり、身体のラインを綺麗に見せるイタリアンフィットを大切にした服作りをしています。デザインソースは、自分が影響を受けてきた50s〜70sのアメリカンヴィンテージが中心です。ファーストコレクションではカレッジテイストなどを多用していますが、今後はもっと様々な要素が反映されると思います。
??自分の今まで培った経験を生かした、理想のニット作りを始めたということなのでしょうか?
A:もちろんそれも目的の一つではあります。原型はイタリア的で生地の質感はブリティッシュ。そして自分の最も影響を受けたアメリカのヴィンテージからインスパイアされたデザインというのはまさに理想と呼べるかもしれません。糸からしっかり選定したものをハンドメイドにこだわってイタリアの工場で編んでいく。そんな伝統的な手法を継承しながら、これからも魅力的なニットを追求していきたいですね。量産に比重を置くのではなく、絶対的に質にこだわるという姿勢も変えたくはありません。
??今回はこうして来日されたわけですが、日本のファッションやマーケットに対してはどのように感じていますか?
A:日本の方はみんな個々のスタイルをしっかりと持っていて、見ていて楽しいです。ファッションに関して言えば、ロンドンと共通するような多様性や面白さのある場所だと思います。ディテールに対するこだわりやそれを反映したデザインも突出していますね。それに素晴らしいヴィンテージショップもたくさんあります。今回発表したスタジャンは、実は過去に東京のヴィンテージショップで見つけたものをモチーフにしているんです。そういった良質のものに出会える都市でもありますね。
??最後に今後の目標があれば教えてください。
A:自分の好きなヴィンテージモチーフのコンセプトは続けて行きながら、古き良き時代のアメリカのみならず、イギリスやイタリアのエッセンスも巧く見せていけたらいいですね。もっと突き詰めていきながら、LAのトパンガのような自分の好きな場所に拠点を設けて、工場をコントロールしながら物作りをやっていくというのが夢の一つです。
シェットランドウールを使用したジャージー編みをキルティングで仕上げたスタジャン。ウォッシュを施し、程よく起毛させた風合いが味わい深い。カラバリも豊富に展開。
各?45','000(+TAX)/DREW&CO.
軽く柔らかい風合いのケーブル編みのニット。袖を通すと身体に吸い付くようにフィットして、イタリア仕込みの美しいシルエットが楽しめる。
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ショールカラーのカーディガン感覚で活用できるニットジャケット。ダブルブレストにメタルボタンという格式と、ストレスのない程よいテンションが着やすい。?34','000(+TAX)/DREW&CO.
アンドレア・アンドレオリ
イタリアのモデナ生まれ。幼少の頃から母親が経営するニット製造会社でニットの“いろは”を学ぶ。イタリアの大学を卒業後、アメリカのカリフォルニアに移住。LAでも大学に通いながら産業デザインなどを勉強し、同時にヴィンテージの収集や研究に没頭する。2009年にイタリアに戻りニット作りに専念。
2011年にはラルディーニのニットプログラムのデザインを手掛けるようになり、2013年、満を持してニットに特化した自身のブランド〈ドリュー&コー〉をスタートさせる。