注目ブランドANALOG LIGHTINGのアトリエ訪問 注目ブランドANALOG LIGHTINGのアトリエ訪問

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SHIPS WOMEN

 毎シーズンコンセプチュアルなテーマを掲げ、ファンを確実に増やし続けるANALOG LIGHTING。中でもオリジナルプリントにファンが多く、今季展開する動物モチーフのファブリックにも注目が集まっています。その卓越したセンスはどこからくるのか? ブランドコンセプトである、“日常への遊戯”、“視覚への疑い”、“主体性の排除”の3つの持つ意味とは? 服作りの現場であるアトリエで、デザイナー山本威史さんに話をうかがいました。


???山本さんは、デザイナーになる前は内装職人をしていたそうですね。

 そうなんです。内装職人になる前も、線路工事、ガス工事、電気工事など、いわゆるワークウエアを着て仕事をしていました。服飾学校に通ったこともないし、アパレルメーカーでの経験はありません。パターンも生産もすべて、独学で…


???ワークウエアをインスパイアしたアイテムが多く展開されているのには、そのような理由があったんですね。

 自称“誰よりもワークウエアを着つぶしたデザイナー”ですから(笑)。元々、職人が持っているような道具や、ワークウエアがすごく好きなんです。汚れていて、味がある。その味というのは、とっても美しいですよね。だから、今でも生地を発注したりするのによく工場に行くですが、楽しくて仕方ないんです

ワンピース(左)¥35','700(右)¥43','050/ANALOG LIGHTING

???工場に自ら足を運ぶことも多いんですか?

 ファッションとは関係ない、例えば車の資材工場とかよく行きますよ。そういうところに行くことで発想が出てくるし、発見も多い。生地を加工する方法とか、トラックの資材を使うにはどうしたらいいかとか…プロの職人さんたちに相談をしていると色んな意見が湧き出てきます


??2012 S/Sのオリジナルファブリックには、どんなテーマがあるんでしょうか?

 今回は“サファリ”がテーマなので、動物がメインです。僕、動物が得意なんですよ(笑)。アトリエも、この通り動物だらけ。今回の動物モチーフのファブリックを作るために、ひとりでサファリパークに行ってきたんです。本当はアフリカに行きたかったんですけど(笑)。例えばこのレオパード刺繍のワンピース(写真上/右)は、ヒョウの目の部分には穴があいていて、ともすればお花の刺繍のように見えるよう工夫を施しています。もう一枚のジャングルプリントのワンピ(写真上/左)は、40年代のデッドストックシャツをモチーフにしています。いろんな動物が隠れているので、是非探してほしいですね。ショートパンツ(写真下)は、手刺繍のような味を出すために、太めの糸でざっくりとしたステッチワークにしています。よ?く見てみると、茂みの中からキリンがにょっこりと長い首を出してます

??まさに、ブランドのコンセプトである“視覚への疑い”ですね。

 ぱっと見は普通なんだけど、よく見てみると面白い。例えば、見た目はデニムなんだけど、よく見るとデニムじゃないというような。見た目はすでに知っているんだけど、記憶の中のものと違うということは、驚きがあったり、発見があったりすると思うんです


??楽しいですね!! そのアイディアはどこからくるんですか?

 う?ん、どこでしょうか(笑)。特別なことは…してないです。アイディアは朝シャワーを浴びてるときに思いつくことが多いです。だいたいバスルームから出るころには、忘れてるけど…(笑)。ただ、ブランドコンセプトでもある“日常への遊戯”は大切にしています。自分にいかに正直にいられるか、好きでもないのにやっているのは嫌なので、毎日の一瞬一瞬『これは自分が好きなものか?』ということを確認するようにはしています

ショートパンツ¥16','800/ANALOG LIGHTING

???最後に。今後、山本さんが挑戦していきたいことを教えてください!

 特に、女性はお気に入りの洋服を着るだけで救われたりすることってあると思うんです。男社会の中にいると、そういうことってあまり重要視されないけど、僕自身は、洋服には“薬”みたいな効果があると思っています。それは、medicineでもdrugでもいい。洋服がそういう役割を果たしてくれればいいな、って。自分が“自分”らしくいられることが一番大切だと思います。ANALOG LIGHTINGを着ることで自分らしくいられると言ってもらえるとうれしいですね。デザイナーとしては、デザイナー個人のクリエイションの追求ではなく、一般的な人の聞くに関わるモノ作りをしていきたい。これは、ANALOG LIGHTINGの目標であり、デザイナーとして僕の挑戦でもあるんです

ANALOG LIGTINGデザイナー
山本威史


1971年5月9日生まれ。元内装職人。大学卒業後、線路工事、ガス工事、電気工事など仕事に従事しながら、独学で洋服のデザインを始める。1998年にアナログライティングというブランド名でメンズコレクションを発表。1999年に本業としてブランドを始め、2001年よりレディースコレクションを発表。2002年に会社設立。2003年にはロンドンと日本にてファッションショーを行う。2007年と2008年にはパリにて展示会を行う。