EVER KHAKI
レディースに人気のトフ&ロードストーンのデザイナー坂井一成氏が
新たなるバッグブランド「エバー カーキ」を立ち上げた。カジュアルでいてシンプル、そして艶がある、そんなバッグの魅力に迫る。
- バッグ作りのきっかけは?
私自身ファッションは元々好きで、それこそ中学生時代からVANで育ってきました。それから高校時代にブルックス ブラザーズでアイビーの洗礼を受け、そのころミウラ&サンズ(シップスの前身)で商品に触れる事によりアメリカの文化やファッションを知り、次にフランス、そしてイタリアという具合でインポートの商品を見るようになりました。当時、私も洋服の世界にいてとにかくインポートのファッションが好きだったんです。自分も洋服を生産する仕事をしていましたが「日本製の服」というものに限界を感じ始めていました、それが確か30歳位の事だったと思います。このまま洋服で勝負していくのは難しいと考え、何か世界に打って出るものは無いか?と、考えていたところ行き着いた先が当時はまだファッションとしてフューチャーされていなかったバッグと眼鏡だったんです。それから両方の可能性を模索する中でたまたま先に生産に入っていったのがバッグだったという訳です。
- エバーカーキのデザインの魅力とは?
エバー カーキの場合はなるべくデザインをしないように心掛けています。というのも先に述べたように私はアイビーに洗礼を受けていて、アイビーが教えてくれたのはなるべくデザインをしないという事だったんです。着こなしに決まりが必ずあるように、このパンツにはこの靴を合わせてはいけないとか自然の流儀みたいのがありましたよね。そういうところをファッションから学びました。デザインをしすぎるとエグいものになっちゃうんです、本質(ルーツ)の部分のデザインはいじらずしてシンプルなんだけど何処か新しい、でも最終的な落としどころは普通、そういう物作りを目指したいんです。シップスで扱うマルセル ラサンスみたいなポジションですね、ごく普通なんだけど色気があるあの感じ。これって凄い難しいと思うんですよ。でも私、手前味噌なんですがバッグでこの事を表現できると思っているんです。エバー カーキというブランドは基本カジュアルなんでカジュアルの中でどれだけ大人でいられるかという事を常に考えています。意外と難しい所なんですが日本のメンズのマーケットって、すごくオジさん風になっちゃうか、逆に子供っぽくなっちゃうかのどちらかなんですよね。ウチのブランドは狙っている年齢層などは特に無く、基本、エイジレスです。でも、その中でも気をつけている事があって凄くドカジュアルなんだけど大人であるって事ですかね。そして時代の「普通」とは常に変わりゆくものだと思っています、インポートだって今時硬いメルトンの生地のPコートとか作りませんよね、それと同じでエバー カーキらしい時代に合った普通をこれからも作り出していければなと思っています。
デザイナー 坂井一成
エスモードジャポン出身。
日本で就職するのが嫌で渡英。一年半程滞在。
帰国後、アパレルで7年間洋服のデザインをする。バッグのデザインを始めたのは30歳の頃からで、就職はせず、アパレルデザイナーをしながら嘱託で仕事を覚える。
その後9年間、日本のバッグメーカーで取締役兼チーフデザイナーを勤め、2004年退社後独立。現在に至る。元々が“服”出身の人間なので、いつまでも“ファッションデザイナーが考えたバッグ”を作るのが信条。