甲斐みのり(文筆家)
俳人でもある、私の父に向けたメッセージです。子どもの頃、私は寒い冬が大の苦手でした。珍しく雪が降った日、近所の友だちみんなが外で駆け回っているのに、私は部屋に閉じこもったまま。そこで、物心ついたときから食いしん坊な娘に父は「うまさうな 雪がふうはり ふわりかな」という、小林一茶の俳句を教えてくれました。小林一茶の俳句を聞いたら、雪がおいしそうなアイスクリームに見えてくるではありませんか。そうして私も外に出て雪に触れることができました。いつでもどんなときも、目の前にある状況を楽しもうとする気持ち。それは父から学んだ大切な姿勢です。父は必ず手紙に俳句を添えるので、今回は昔を思い出して父の真似をしてみました。
甲斐みのり●静岡生まれ。文筆家。旅、散歩、お菓子、手土産、地元パン®、クラシックホテルや建築などを主な題材に、書籍・雑誌・webに執筆。雑貨の企画やイベントもおこなう。著書は『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ)、『乙女の東京案内』(左右社)など。
ふだんお世話になっている家族や近しい間柄の人に、日頃の感謝の気持ちを込めて。
来るべき冬に向けて、個性が光る気の利いた相棒を。
どこへいくにもいつも一緒。毎日のようにつかうものだからこそ、ウォレット選びは慎重になってしまう。そんなとき大切にしたいのは「長く使えるかどうか」。丈夫さというよりも、年季が入って愛着をもてるものがいいだろう。カジュアルに使えるLジップタイプでありながらも、贅沢に使われた上質なイタリアンバケッタレザーはきっといい味を出してくれるはず。母がくれたお気に入りのウォレットのように。
「目立ちすぎず、でもアピールは上手に。さりげなくキラッとね」とは姉のアドバイス。そんな金言をそのままあの子に贈ろう。クラシックでちょっぴりゴージャスな印象のビジューとともに。日頃いろいろと助けてくれるお返しといっては味気ないけれど、気になる人がいるみたいだし、いつもと違う「ワタシ」になるのもいいんじゃないかな。
ボックスシルエットのVネック、かつワイド目のリブ編みはカーディガン発祥の地・英国らしさも感じられるデザイン。カシミヤ混ならではの軽やかな着心地や上品さ、ふんわりとした風合いは、自分にとってオアシス的な存在のあの人によく似合うだろう。「イルミネーションがロウソクの灯みたいだよね」と穏やかな笑みを浮かべる彼女に、「いつもありがとう」の気持ちを込めて。
「暖かくしないと体壊しちゃうよ」と世話好きのあの人。そういう本人は、ちょっとそこまで出かけるときには横着して、冬でも決まってサンダルを履く。やれやれと思いつつずっと見過ごしていたから、これを機にほっこり暖かいボア仕様のウィンターサンダルを贈ろう。楽ちんだし、凹凸のあるしっかり目のソールだし、これなら普段使いにもいいんじゃないかと思いつつ、「何色が好きだったかしら」とこっそり今日のコーディネートをチェック。
上品ながら存在感のあるバイカラーデザインをまとった、触り心地抜群のカシミヤ100%のグローブ。手にした瞬間「私、これほしい!」と自分への今冬のご褒美に決定。同時に、贈りたい人が頭に浮かんでしまう。どっちのカラーか迷うけど、ふだんグレーや黒系の洋服が多い彼女にはあえてベージュかな。いや、私もベージュが気になる……。ギリギリまで迷ってどちらかを渡そう。「おそろいだけど、私のお墨付き(笑)」ってメッセージカードを添えて。