#6
シップスのオリジナル
ベーシックが好きだけど退屈なのはイヤ♡
そんな服好き視点を大切に日々いいモノの発掘に勤しむ
Beginプロデューサー ミツキが、
シップスのフレンドたちと対談。
長年の関係性をベースに、これぞ!な オスミツキの
アイテムを探す連載の第6 回です。
今回のお相手はシップス オリジナル企画の高橋。
お題は『ニット』でいってみよ〜!!
Begin
プロデューサーミツキ
1977 年生まれ。(株)ワー ルドフォトプレス『モノ・マガジン』編集部を経て、(株)世界文化社『Begin』 編集部へ。2017年に10代目編集長に就任する。 21' 年10月より現職。“いくつになっても中坊マインド” を胸に、心躍るコラボアイテムや新雑誌 の開発に勤しむ。
シップス
オリジナル企画高橋直樹
1977 年新潟生まれ。東京モード学園にて服作りの基礎を学び、アパレルメーカーを経てシップスへ。ニットをはじめ多彩なオリジナルアイテムの企画を手掛ける。大切にしていることは“生産者との二人三脚でのモノ作り”。4歳の息子と観る恐竜番組にどハマり中。
ミツキ:1977 年生まれですよね。
高橋:そのとおりです(笑)。同級生で。
ミツキ:よく一緒に遊びましたもんね。奥さんも知ってますし。ビギンの忘年会※Aで出会った奥さん。
※A:目玉はビンゴ大会と仮装でした。写真は在りし日の五郎丸ミツキ。
高橋:そうですそうです! よく覚えてるなー。
ミツキ:覚えてるに決まってるでしょ(笑)! シップスの前のプレスの奥さんの会社の人でね。
高橋:ええ。ってこんなノリで大丈夫ですか(笑)。
ミツキ:だいじょうぶ! 直樹さんはシップスのオリジナルをずっと手掛けられてきて。でも、僕の中ではやっぱりニットのイメージが強いんですよ。
高橋:それってあのときの思い出ですよね……。
ミツキ:はい。僕が○×□△※と※☆♡しているときに有楽町のお店に行ったら、たまたま直樹さんがヘルプでお店にいらっしゃって。
高橋:生々しく覚えていますよ! その節はニットをたくさん買ってくださいましてありがとうございました。
ミツキ:焦ってたもんだから薦められたのを全部買っちゃった(笑)。いや〜でもいい思い出がいっぱいありますね。カラオケにも行ったし。
高橋:こんなに仲良くしてくれる編集者の方は後にも先にもいないですよ。
ミツキ:取材となるとインポートのバイヤーさんが多いですし、なかなかオリジナルの企画を手掛けられている方へ取材する機会がないですからね。僕にとっても高橋さんは貴重なフレンドです。あと僕がビギンの編集長に就任したときに、フロッキープリントの裏毛スウェット※Bをお祝いでいただいて。あれも作ったのは直樹さんでしょ?
※B:風合いもお気に入りポイント。いいスウェットは育つ! フロッキープリントのかすれがいい感じ!写真右は4年前、プレゼントしていただきすぐ着用するミツキ。
高橋:僕です。あれは銀座店の40 周年を記念してミウラで売っていた頃のを再現した吊り編みスウェットで。和歌山で作りました。
ミツキ:超売れたんですよね?
高橋:はい。完売しました。
ミツキ:フロッキーがいい感じに落ちてきて、いい味に育っていますよ。さておき、今回のテーマはニット。素材はカシミヤですか?
高橋:いえ、ラムウールのニットなんですけど、繊維の細さがカシミヤと変わらない等級──繊維径が14.5 マイクロンの原毛を使って作りました。
ミツキ:へぇ〜。肌触りがいいなぁ。
高橋:ちょっと専門的な話になっちゃいますが、ニットに用いられるカシミヤの原毛は14.5 マイクロンほど。スーツのウール表記にするとスーパー180'S※C程度になるんです。
※C:スーパーとはウール原毛の繊維の太さを示すもの。数値が高くなるほど細く、高級なものとされる。肌触りも自ずとなめらかに。
ミツキ:スーパー180'S って相当高級ですよね。だからシルキーで品のいいタッチなんだ。
高橋:はい。ラムウールは技術的な問題からそれほどの原毛の細さの糸が出回らなかったんですが、触ってみたらこれはイイぞと。
ミツキ:この手触りでラムとはねー。親がマトンの。
高橋:ええ、親がマトン。逆にわかりづらいな(笑)。
ミツキ:一枚おいくらなんですか?
高橋:1 万5400 円です。今って一口にカシミヤといってもピンキリあるのでカシミヤで値段を抑えることもできるのですが、だからこそカシミヤの名前に頼らずにいいニットを作りたくて
ミツキ:全然、チクチクしませんね。僕じつはウール苦手なんですよ、かゆくなっちゃうから。冬でもコットンニット着ちゃうくらいなんだけど、これなら着られるかも♡
高橋:ぜひ!
ミツキ:これは和歌山のある工場に取材に行ったときに聞いた話なんですが、いい羊毛は髪の毛と一緒で、キューティクルがなめらかだと。このニットもそうですね。
高橋:ええ。僕もずっとニット作りをしてきましたが、こうもクオリティの高いラムウール糸に出会ったのは初めて。カシミヤとはまた違ったいい風合いですし、カシミヤより毛玉になりにくいメリットもあるんですよ。
ミツキ:これ、ゲージはどの位ですか?
高橋:7Gとミドルですね。最近は暖冬傾向なのであまり暑くなりすぎないように厚みを調整しました。シルエットはリラックス感を大切に、樽のような丸みが出る※Dように作っています。袖もいいニュアンスの溜まりが出るよう、アームホールへ近づくにつれてだんだん目を増やして編んでいる。ちょうど、昔のスメドレーみたいな感じですね。
※D:程よいゆとりが生む丸みが、洒落たニュアンスの決め手。
ミツキ:パッと見はベーシックなんだけど、着てみるとイイな、っていうね。まさにスタイリッシュ・スタンダード。オリジナルならではのよさが表れていると思います。あとやっぱりチクチクしないのが最高♡
高橋:嬉しいですね。タッチについては原料のよさが一番なのですが、ウールってじつは、仕上げ洗い如何によっても風合いが全然変わるのも面白くて。柔軟剤を入れて洗うのですが。
ミツキ:そこはやっぱり、髪の毛と同じなんですね。
高橋:ええ。それに同じ糸でも染めによって風合いが異なったりして、この色では洗いを15 分にしてくださいとか、結構細かく調整しないと風合いがブレてしまう。だからかなり気を遣います。
ミツキ:洗いは糸の段階で?
高橋:いえ、製品になってから。
ミツキ:えーっ、ワンウォッシュしてから世に出すんだ。アイク・ベーハーのBD シャツみたい。
高橋:はい。ニットは必ずワンウォッシュするんです。
ミツキ:それは知らなかったなー。
高橋:だからせっかくカシミヤを使っているのに固いニットだったりというのは、柔軟剤の量が適量じゃなかったり洗いをちゃんとしていない。糸に適した仕上げが本当に大切なんですよ。
ミツキ:へぇー。
高橋:でも、たとえばアンデルセン アンデルセンってブランドのニットがあるじゃないですか。あれは洗わない例外。
ミツキ:ガンジーニットみたいのは洗わないんですかね。余談ですが昔の漁師ニットは、作っている人の○×□△※に漬けて毛を柔らかくしてたらしいですよ。
高橋:えーっ! それは全然知らなかった!!
ミツキ:さておき、ラムウールのこのニット。品のいいタッチなのにミドルゲージだし、首リブが太め※Eだったり、いい具合に無骨さがあるところも素晴らしい。カジュアルに着やすいバランス。上品なスウェットみたいな。
※E:リブが細いとクリーンな印象は増すが、あえて無骨さを残すことでカジュアルとの親和性アップ。
高橋:そこは意識したところ!
ミツキ:いま便乗したでしょ(笑)。でもほんと、肩が落ちていてカジュアルに着られるのに品がいい、ってバランスのニットってないですよね。大抵キレイすぎちゃうか、もっとカジュアルに振っちゃう。このバランスならグレーパンツに合わせればいい感じにくだけて見えると思うし。デニムに合わせれば逆にキレイに見せてくれる※F。いいところを突いていると思います。これは着たい。
※F:デニム&NB コーデ。凝ったレイヤードなしでもサマになる。
高橋:ただ、ミツキさんが着てくれたら嬉しいなぁ。
ミツキ:前々からセレクトショップの服はオリジナルこそ見てほしいと思っていたのですが、今回その思いを強くしました。記号性がないから見逃しがちなんだけど、これだけ作り手の想いが込められているんですから。僕ら媒体もこうした素晴らしいオリジナルを、もっと深く掘って紹介していかないといけませんね。モノの裏側、こだわりを知れば、価格も途端に安く感じられると思いますし。
高橋:いやぁ、ありがたいです。僕も頑張って皆さんに伝えなければと。
ミツキ:ぜひ、またお店に立って直接。
高橋:ミツキさん来てくれるなら喜んで(笑)。
ミツキ:あ、最後あだ名つけなきゃですね。
高橋:歴代のバイヤーから聞いてはいたけど、あだ名ってホントに恒例なんだ。
ミツキ:うん、決まった。
高橋:なんでしょう?
ミツキ:「松葉」。
高橋:それ奥さんの旧姓じゃないですかー(笑)。
ミツキ:1977 年生まれですよね。
高橋:そのとおりです(笑)。同級生で。
ミツキ:よく一緒に遊びましたもんね。奥さんも知ってますし。ビギンの忘年会※Aで出会った奥さん。
※A:目玉はビンゴ大会と仮装でした。写真は在りし日の五郎丸ミツキ。
高橋:そうですそうです! よく覚えてるなー。
ミツキ:覚えてるに決まってるでしょ(笑)! シップスの前のプレスの奥さんの会社の人でね。
高橋:ええ。ってこんなノリで大丈夫ですか(笑)。
ミツキ:だいじょうぶ! 直樹さんはシップスのオリジナルをずっと手掛けられてきて。でも、僕の中ではやっぱりニットのイメージが強いんですよ。
高橋:それってあのときの思い出ですよね……。
ミツキ:はい。僕が○×□△※と※☆♡しているときに有楽町のお店に行ったら、たまたま直樹さんがヘルプでお店にいらっしゃって。
高橋:生々しく覚えていますよ! その節はニットをたくさん買ってくださいましてありがとうございました。
ミツキ:焦ってたもんだから薦められたのを全部買っちゃった(笑)。いや〜でもいい思い出がいっぱいありますね。カラオケにも行ったし。
高橋:こんなに仲良くしてくれる編集者の方は後にも先にもいないですよ。
ミツキ:取材となるとインポートのバイヤーさんが多いですし、なかなかオリジナルの企画を手掛けられている方へ取材する機会がないですからね。僕にとっても高橋さんは貴重なフレンドです。あと僕がビギンの編集長に就任したときに、フロッキープリントの裏毛スウェット※Bをお祝いでいただいて。あれも作ったのは直樹さんでしょ?
※B:風合いもお気に入りポイント。いいスウェットは育つ! フロッキープリントのかすれがいい感じ!写真右は4年前、プレゼントしていただきすぐ着用するミツキ。
高橋:僕です。あれは銀座店の40 周年を記念してミウラで売っていた頃のを再現した吊り編みスウェットで。和歌山で作りました。
ミツキ:超売れたんですよね?
高橋:はい。完売しました。
ミツキ:フロッキーがいい感じに落ちてきて、いい味に育っていますよ。さておき、今回のテーマはニット。素材はカシミヤですか?
高橋:いえ、ラムウールのニットなんですけど、繊維の細さがカシミヤと変わらない等級──繊維径が14.5 マイクロンの原毛を使って作りました。
ミツキ:へぇ〜。肌触りがいいなぁ。
高橋:ちょっと専門的な話になっちゃいますが、ニットに用いられるカシミヤの原毛は14.5 マイクロンほど。スーツのウール表記にするとスーパー180'S※C程度になるんです。
※C:スーパーとはウール原毛の繊維の太さを示すもの。数値が高くなるほど細く、高級なものとされる。肌触りも自ずとなめらかに。
ミツキ:スーパー180'S って相当高級ですよね。だからシルキーで品のいいタッチなんだ。
高橋:はい。ラムウールは技術的な問題からそれほどの原毛の細さの糸が出回らなかったんですが、触ってみたらこれはイイぞと。
ミツキ:この手触りでラムとはねー。親がマトンの。
高橋:ええ、親がマトン。逆にわかりづらいな(笑)。
ミツキ:一枚おいくらなんですか?
高橋:1 万5400 円です。今って一口にカシミヤといってもピンキリあるのでカシミヤで値段を抑えることもできるのですが、だからこそカシミヤの名前に頼らずにいいニットを作りたくて
ミツキ:全然、チクチクしませんね。僕じつはウール苦手なんですよ、かゆくなっちゃうから。冬でもコットンニット着ちゃうくらいなんだけど、これなら着られるかも♡
高橋:ぜひ!
ミツキ:これは和歌山のある工場に取材に行ったときに聞いた話なんですが、いい羊毛は髪の毛と一緒で、キューティクルがなめらかだと。このニットもそうですね。
高橋:ええ。僕もずっとニット作りをしてきましたが、こうもクオリティの高いラムウール糸に出会ったのは初めて。カシミヤとはまた違ったいい風合いですし、カシミヤより毛玉になりにくいメリットもあるんですよ。
ミツキ:これ、ゲージはどの位ですか?
高橋:7Gとミドルですね。最近は暖冬傾向なのであまり暑くなりすぎないように厚みを調整しました。シルエットはリラックス感を大切に、樽のような丸みが出る※Dように作っています。袖もいいニュアンスの溜まりが出るよう、アームホールへ近づくにつれてだんだん目を増やして編んでいる。ちょうど、昔のスメドレーみたいな感じですね。
※D:程よいゆとりが生む丸みが、洒落たニュアンスの決め手。
ミツキ:パッと見はベーシックなんだけど、着てみるとイイな、っていうね。まさにスタイリッシュ・スタンダード。オリジナルならではのよさが表れていると思います。あとやっぱりチクチクしないのが最高♡
高橋:嬉しいですね。タッチについては原料のよさが一番なのですが、ウールってじつは、仕上げ洗い如何によっても風合いが全然変わるのも面白くて。柔軟剤を入れて洗うのですが。
ミツキ:そこはやっぱり、髪の毛と同じなんですね。
高橋:ええ。それに同じ糸でも染めによって風合いが異なったりして、この色では洗いを15 分にしてくださいとか、結構細かく調整しないと風合いがブレてしまう。だからかなり気を遣います。
ミツキ:洗いは糸の段階で?
高橋:いえ、製品になってから。
ミツキ:えーっ、ワンウォッシュしてから世に出すんだ。アイク・ベーハーのBD シャツみたい。
高橋:はい。ニットは必ずワンウォッシュするんです。
ミツキ:それは知らなかったなー。
高橋:だからせっかくカシミヤを使っているのに固いニットだったりというのは、柔軟剤の量が適量じゃなかったり洗いをちゃんとしていない。糸に適した仕上げが本当に大切なんですよ。
ミツキ:へぇー。
高橋:でも、たとえばアンデルセン アンデルセンってブランドのニットがあるじゃないですか。あれは洗わない例外。
ミツキ:ガンジーニットみたいのは洗わないんですかね。余談ですが昔の漁師ニットは、作っている人の○×□△※に漬けて毛を柔らかくしてたらしいですよ。
高橋:えーっ! それは全然知らなかった!!
ミツキ:さておき、ラムウールのこのニット。品のいいタッチなのにミドルゲージだし、首リブが太め※Eだったり、いい具合に無骨さがあるところも素晴らしい。カジュアルに着やすいバランス。上品なスウェットみたいな。
※E:リブが細いとクリーンな印象は増すが、あえて無骨さを残すことでカジュアルとの親和性アップ。
高橋:そこは意識したところ!
ミツキ:いま便乗したでしょ(笑)。でもほんと、肩が落ちていてカジュアルに着られるのに品がいい、ってバランスのニットってないですよね。大抵キレイすぎちゃうか、もっとカジュアルに振っちゃう。このバランスならグレーパンツに合わせればいい感じにくだけて見えると思うし。デニムに合わせれば逆にキレイに見せてくれる※F。いいところを突いていると思います。これは着たい。
※F:デニム&NB コーデ。凝ったレイヤードなしでもサマになる。
高橋:ただ、ミツキさんが着てくれたら嬉しいなぁ。
ミツキ:前々からセレクトショップの服はオリジナルこそ見てほしいと思っていたのですが、今回その思いを強くしました。記号性がないから見逃しがちなんだけど、これだけ作り手の想いが込められているんですから。僕ら媒体もこうした素晴らしいオリジナルを、もっと深く掘って紹介していかないといけませんね。モノの裏側、こだわりを知れば、価格も途端に安く感じられると思いますし。
高橋:いやぁ、ありがたいです。僕も頑張って皆さんに伝えなければと。
ミツキ:ぜひ、またお店に立って直接。
高橋:ミツキさん来てくれるなら喜んで(笑)。
ミツキ:あ、最後あだ名つけなきゃですね。
高橋:歴代のバイヤーから聞いてはいたけど、あだ名ってホントに恒例なんだ。
ミツキ:うん、決まった。
高橋:なんでしょう?
ミツキ:「松葉」。
高橋:それ奥さんの旧姓じゃないですかー(笑)。
〜ミツキのオスミツキ〜