Back Number 〜ミツキのオスミツキ〜

  • #1 シップスが掘り起こした別注ラコステについて

    2021.05.28

  • #2 シップス別注NAVYトゥミについて

    2021.06.28

  • #3 パドモア&バーンズに別注したスエード靴について

    2021.07.28

  • #4 パドモア&バーンズに別注したスエード靴について

    2021.08.28

FRIEND SHIPなトークルーム〜ミツキのオスミツキ〜 FRIEND SHIPなトークルーム〜ミツキのオスミツキ〜

#4

パドモア&バーンズに
別注したスエード靴について

パドモア&バーンズに別注したスエード靴について

ベーシックが好きだけど退屈なのはイヤ♡
そんな服好き視点を大切に
日々いいモノの発掘に勤しむBegin編集長ミツキが、
シップスのフレンドたちと対談。
長年の関係性をベースに、これぞ!な
オスミツキのアイテムを探す連載の第4回です。
今回のお相手はシップス エニィ バイヤーの石幡。
お題は『パドモア&バーンズ』でいってみよ〜!!

2021.08.28

PROFILE

Begin編集長ミツキ

1977年生まれ。(株)ワールドフォトプレス『モノ・マガジン』編集部を経て、(株)世界文化社『Begin』編集部へ。2017年に10代目編集長に就任する。座右の銘はいくつになっても“中坊マインド”。ワクワクの火を絶やさず、今日もまだ見ぬいいモノ探しに邁進中。

PROFILE

SHIPS any
バイヤー
石幡 瞬

1984 年、福島生まれ。若き日にアメカジの洗礼を浴び、大学在学時にシップスでアルバイトを始める。卒業後に入社し、新宿店ほかさまざまなショップでの勤務を経験。'17年にバイヤーへ就任し、シップス エニィには'20年の立ち上げ時から携わる。バイイングのモットーは「シップスらしいストーリーを大切に、時代性をミックスする」こと。

“もう1本のステッチ” に
モノ好きたちはシビれ、憧れた

ミツキ:今日のお題はパドモア&バーンズということで。

石幡:イギリスの某有名メーカーの靴を作っていたファクトリーです。

ミツキ:言っちゃっていいじゃん! クラークスのワラビーやナタリーを生産していたアイルランドのファクトリーですよね。

石幡:です(笑)。

ミツキ:ちなみにデザートブーツはメイド・イン・イングランドで、また別の工場で生産していたのよね。クラークスのオフィスはウェールズ近くにあって。僕はオフィス※Aへ3回行ったことあります。

※A:イングランド西部、ウェールズ寄りに位置するクラークスのオフィス。

石幡:結構行ってますね!

ミツキ:だもんでパドモア&バーンズにもすごく思い入れがあるんです。思い出話してもいい?

石幡:どうぞお願いします。

ミツキ:僕が20歳か手前くらいの頃に、ある紳士靴店でクラークスのワラビーを買ったんですよ。当時はもう生産がアジアの工場へ移った後だったんだけど、自分は何も知らないで買ったからずっとイングランド製だと思っていたの。でも取材で本社へ行ったときに「オレはイングランド製のワラビーを持ってる」って自慢したら、「いや、ワラビーならアイルランド製のはずだ」と言われて、そこでワラビーはアイルランドのパドモア&バーンズ製なんだと知った。

石幡:ああ〜(笑)。

ミツキ:しかも買った時期がアジア生産への移行後だったから「オマエのワラビーはアッパーのステッチの内側にもう1本ステッチ※Bが入っていたか? 入ってなければパドモアのワラビーじゃないよ」と言われて。

※B:モカステッチの内側にもう一本、細かな運針のステッチが走っているのがパドモア謹製の証だった。

石幡:2本ステッチはパドモア製を見分ける一番の特徴ですもんね。

ミツキ:そう。当時は厚みを確保するためにライニングを内側に当てていたので、それを縫うためにもう1本ステッチが必要だったと。で、しょんぼりして家帰って下駄箱覗いたら、まさかのちゃんと内側にステッチ入ってた(笑)。

石幡:よかったですね〜。

ミツキ:僕がそのワラビーを買った'90年代の半ばは、ハイテクスニーカーブームが一段落してクラークスの人気が再燃していた時代で。安売りの靴店でも売られていたんだけど、プレミアが付いていたこともあった。おそらくですが、自分が買ったお店は硬派な靴店だからそういうの疎くて、パドモア製の在庫が奇跡的に余ってたんでしょうね。

石幡:僕は1984年生まれなんでオンタイムでパドモア製のクラークスを買ったことはなかったんですが、この業界に入ってから興味が湧いて、探して何足か買いました。「エルランディア※C」という名義のものも持っています。

※C:パドモア&バーンズが対米輸出向けに出していたレーベル。

ミツキ:あ〜! あったねエルランディア。懐かしい!

石幡:クローバーのマークの。

ミツキ:クローバーってケルト民族のマークなんだよね。アイルランド航空の尾翼にも描かれていて。エルランディア、古着屋とかでよく見たなぁ。

ベルトバックルが映える!
'90年代のレアモデルを復刻別注

ミツキ:パドモア&バーンズのファクトリーって、今はアイルランドからポルトガルに移ったんですよね?

石幡:はい。母体は変わっていませんけどね。今回、シップスでは初めて別注をしました。

ミツキ:バックル付きのこのカタチってのがまた、珍しいですね。

石幡:'90年代半ばくらいにあった「アラン」というモデルの復刻作なんです。踵はデザートトレックみたいなデザインで、アッパーはワラビーと、あとビ○ケンのボ○トンを足して2で割ったような感じ。

ミツキ:あ〜ストラップの横ヅラがボ○トンっぽい(笑)。

石幡:紐靴よりもより一層リラックスしたテイストにマッチする一足だと思います。ちなみにスエードはトスカーナの「ザブリ」というタンナーのもので、キメが細かい。原料から生産まで欧州ということで、やっぱり靴にも欧州の匂いがしますよね。ブーツのような重厚感もあって、個人的にもすごく気に入っています。

ミツキ:たしかにすごくイイ顔。紐じゃないってだけで、より脱力した感じもするし。スニーカーより品がいいんだけど、見ようによってはスニーカー以上に脱力感があるという。品のいいスタイルのハズシに重宝しそう。

石幡:そうですね。ポテッとしたボリューム感もあるので、最近主流のワイドパンツにも相性がいいと思います。ユルめのスタイルに合わせるのもアリで、スウェットパンツとかショーツスタイルを品よく見せるのにも役立つかと。

ミツキ:盛夏にサンダルじゃなくてパドモア、ってのがイイですね。僕、スエードって服でいうコットンに近い靴素材だと思うんです。無理なく通年イケるじゃないですか。

石幡:まさしく。暑苦しくも寒々しくも見えないという。

ミツキ:そうそう。それにスエードは雨を通しにくいから、雨でも履けるし。

石幡:キズが目立ちにくいですし、お手入れがラクというメリットもあります。

ミツキ:ホント万能だよね〜。でもクレープソール※Dって、ずっと履いていないとカチカチになってたりもする(笑)。

※D:天然の生ゴムで作られた弾力のあるソール。ランダムな凸凹感に唯一無二の味がある。

極めてベーシックなのに
知る人ぞ知るブランドの希有

ミツキ:パドモア&バーンズって、数あるファクトリーブランドの中でもとりわけベーシック好きの心に刺さるブランドという気がします。

石幡:わかります。でもメジャーというわけではないところもいいのかなと。

ミツキ:相当のモノ好きじゃないと知らないもんね。でもオールデンだって、ブルックス ブラザーズの靴を作っているのはどこだ?ということで探して発掘した経緯がありますから、パドモアも将来はわかりませんよ!?

石幡:たしかに。ところで、パドモアはどうやって発掘されたんでしょうね?

ミツキ:クラークスを取材するなかで、雑誌が聞き出して書いたんだと思いますよ。本国のスタッフからしきりに名前を聞きましたから。ちなみに、生産がパドモアじゃなくなってからしばらくの間は、代理店から「クラークスについての記事ではパドモアには触れないで」というようなお達しがあったりもして。ラコステのアイゾット※Eしかり、そういう背景のストーリーもモノ好きにはたまらない。

※E:かつてラコステの米国ライセンスを持ち、生産していたメーカー。連載vol.1もご参照ください。

石幡:まさしくツウのみぞ知るブランドですね(笑)。

ミツキ:うん。でも、そういうブランドにスポットを当てるところがシップスらしくてイイなと。もしお客さんがブランドを知らなくても、ショップへ行けばスタッフがイチからパドモア&バーンズの何たるかを教えてくれるわけじゃないですか。そういう知識が得られるのも、お店へ直接足を運ぶ醍醐味だから。

石幡:綺麗にまとめていただき、ありがとうございます。

ミツキ:ところで石幡さんはいつも名前何て呼ばれているの? 石ちゃん?

石幡:石ちゃんは定着したことないですね(笑)。これといったあだ名はなく……顔はスアレスだのアンディ・フグ※Fだの言われるんですが。

※F:でも石幡バイヤーの好みはバッファローチェック♡

ミツキ:たしかに似てる(笑)。下の名前のシュンの字はどう書くの?

石幡:またたく、の瞬です。

ミツキ:またたく! カッコいいじゃん!

石幡:そうですか?

ミツキ:うん。これからは「またたくん」って呼ぶね。ねえねえ、またたく〜ん♡

石幡:アハハハ(苦笑)

“もう1本のステッチ” に
モノ好きたちはシビれ、憧れた

ミツキ:今日のお題はパドモア&バーンズということで。

石幡:イギリスの某有名メーカーの靴を作っていたファクトリーです。

ミツキ:言っちゃっていいじゃん! クラークスのワラビーやナタリーを生産していたアイルランドのファクトリーですよね。

石幡:です(笑)。

ミツキ:ちなみにデザートブーツはメイド・イン・イングランドで、また別の工場で生産していたのよね。クラークスのオフィスはウェールズ近くにあって。僕はオフィス※Aへ3回行ったことあります。

※A:イングランド西部、ウェールズ寄りに位置するクラークスのオフィス。

石幡:結構行ってますね!

ミツキ:だもんでパドモア&バーンズにもすごく思い入れがあるんです。思い出話してもいい?

石幡:どうぞお願いします。

ミツキ:僕が20歳か手前くらいの頃に、ある紳士靴店でクラークスのワラビーを買ったんですよ。当時はもう生産がアジアの工場へ移った後だったんだけど、自分は何も知らないで買ったからずっとイングランド製だと思っていたの。でも取材で本社へ行ったときに「オレはイングランド製のワラビーを持ってる」って自慢したら、「いや、ワラビーならアイルランド製のはずだ」と言われて、そこでワラビーはアイルランドのパドモア&バーンズ製なんだと知った。

石幡:ああ〜(笑)。

ミツキ:しかも買った時期がアジア生産への移行後だったから「オマエのワラビーはアッパーのステッチの内側にもう1本ステッチ※Bが入っていたか? 入ってなければパドモアのワラビーじゃないよ」と言われて。

※B:モカステッチの内側にもう一本、細かな運針のステッチが走っているのがパドモア謹製の証だった。

石幡:2本ステッチはパドモア製を見分ける一番の特徴ですもんね。

ミツキ:そう。当時は厚みを確保するためにライニングを内側に当てていたので、それを縫うためにもう1本ステッチが必要だったと。で、しょんぼりして家帰って下駄箱覗いたら、まさかのちゃんと内側にステッチ入ってた(笑)。

石幡:よかったですね〜。

ミツキ:僕がそのワラビーを買った'90年代の半ばは、ハイテクスニーカーブームが一段落してクラークスの人気が再燃していた時代で。安売りの靴店でも売られていたんだけど、プレミアが付いていたこともあった。おそらくですが、自分が買ったお店は硬派な靴店だからそういうの疎くて、パドモア製の在庫が奇跡的に余ってたんでしょうね。

石幡:僕は1984年生まれなんでオンタイムでパドモア製のクラークスを買ったことはなかったんですが、この業界に入ってから興味が湧いて、探して何足か買いました。「エルランディア※C」という名義のものも持っています。

※C:パドモア&バーンズが対米輸出向けに出していたレーベル。

ミツキ:あ〜! あったねエルランディア。懐かしい!

石幡:クローバーのマークの。

ミツキ:クローバーってケルト民族のマークなんだよね。アイルランド航空の尾翼にも描かれていて。エルランディア、古着屋とかでよく見たなぁ。

ベルトバックルが映える!
'90年代のレアモデルを復刻別注

ミツキ:パドモア&バーンズのファクトリーって、今はアイルランドからポルトガルに移ったんですよね?

石幡:はい。母体は変わっていませんけどね。今回、シップスでは初めて別注をしました。

ミツキ:バックル付きのこのカタチってのがまた、珍しいですね。

石幡:'90年代半ばくらいにあった「アラン」というモデルの復刻作なんです。踵はデザートトレックみたいなデザインで、アッパーはワラビーと、あとビ○ケンのボ○トンを足して2で割ったような感じ。

ミツキ:あ〜ストラップの横ヅラがボ○トンっぽい(笑)。

石幡:紐靴よりもより一層リラックスしたテイストにマッチする一足だと思います。ちなみにスエードはトスカーナの「ザブリ」というタンナーのもので、キメが細かい。原料から生産まで欧州ということで、やっぱり靴にも欧州の匂いがしますよね。ブーツのような重厚感もあって、個人的にもすごく気に入っています。

ミツキ:たしかにすごくイイ顔。紐じゃないってだけで、より脱力した感じもするし。スニーカーより品がいいんだけど、見ようによってはスニーカー以上に脱力感があるという。品のいいスタイルのハズシに重宝しそう。

石幡:そうですね。ポテッとしたボリューム感もあるので、最近主流のワイドパンツにも相性がいいと思います。ユルめのスタイルに合わせるのもアリで、スウェットパンツとかショーツスタイルを品よく見せるのにも役立つかと。

ミツキ:盛夏にサンダルじゃなくてパドモア、ってのがイイですね。僕、スエードって服でいうコットンに近い靴素材だと思うんです。無理なく通年イケるじゃないですか。

石幡:まさしく。暑苦しくも寒々しくも見えないという。

ミツキ:そうそう。それにスエードは雨を通しにくいから、雨でも履けるし。

石幡:キズが目立ちにくいですし、お手入れがラクというメリットもあります。

ミツキ:ホント万能だよね〜。でもクレープソール※Dって、ずっと履いていないとカチカチになってたりもする(笑)。

※D:天然の生ゴムで作られた弾力のあるソール。ランダムな凸凹感に唯一無二の味がある。

極めてベーシックなのに
知る人ぞ知るブランドの希有

ミツキ:パドモア&バーンズって、数あるファクトリーブランドの中でもとりわけベーシック好きの心に刺さるブランドという気がします。

石幡:わかります。でもメジャーというわけではないところもいいのかなと。

ミツキ:相当のモノ好きじゃないと知らないもんね。でもオールデンだって、ブルックス ブラザーズの靴を作っているのはどこだ?ということで探して発掘した経緯がありますから、パドモアも将来はわかりませんよ!?

石幡:たしかに。ところで、パドモアはどうやって発掘されたんでしょうね?

ミツキ:クラークスを取材するなかで、雑誌が聞き出して書いたんだと思いますよ。本国のスタッフからしきりに名前を聞きましたから。ちなみに、生産がパドモアじゃなくなってからしばらくの間は、代理店から「クラークスについての記事ではパドモアには触れないで」というようなお達しがあったりもして。ラコステのアイゾット※Eしかり、そういう背景のストーリーもモノ好きにはたまらない。

※E:かつてラコステの米国ライセンスを持ち、生産していたメーカー。連載vol.1もご参照ください。

石幡:まさしくツウのみぞ知るブランドですね(笑)。

ミツキ:うん。でも、そういうブランドにスポットを当てるところがシップスらしくてイイなと。もしお客さんがブランドを知らなくても、ショップへ行けばスタッフがイチからパドモア&バーンズの何たるかを教えてくれるわけじゃないですか。そういう知識が得られるのも、お店へ直接足を運ぶ醍醐味だから。

石幡:綺麗にまとめていただき、ありがとうございます。

ミツキ:ところで石幡さんはいつも名前何て呼ばれているの? 石ちゃん?

石幡:石ちゃんは定着したことないですね(笑)。これといったあだ名はなく……顔はスアレスだのアンディ・フグ※Fだの言われるんですが。

※F:でも石幡バイヤーの好みはバッファローチェック♡

ミツキ:たしかに似てる(笑)。下の名前のシュンの字はどう書くの?

石幡:またたく、の瞬です。

ミツキ:またたく! カッコいいじゃん!

石幡:そうですか?

ミツキ:うん。これからは「またたくん」って呼ぶね。ねえねえ、またたく〜ん♡

石幡:アハハハ(苦笑)

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